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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 第8話 立ち上がるtrickster 希望の星は消えてない!

2019年8月30日

 

引用元:https://ensemblestars-anime.com/story/8

お待たせしました8話です!
先週の第7話では生徒会長 天祥院英智の謀略により引き裂かれたTrickstar。今週からは彼らの新しい物語が幕を開けました。

大きくかき回された前回を整え直すように、新たな関係性の積み重ねが描かれることになった第8話。今回も書かせて頂きます。よろしければお付き合いお願い致します。

紡がれた新たなる関係性

新キャラが多い。

今週は全体的に大きな話の動きがあった回ではなく、情報量の多さに翻弄される1回でした。とても覚え切れない数のキャラが動いたため、まず存在だけでも記憶に留めておいてあげないと…といった感じ。

そんな中で、trickstar周りの話を除いて特に気になったキャラクター達をまず拾って行こうと思います。

個性派揃い「流星隊」

今回目立ったのはやはり空気の読めないリーダー守沢千秋と噴水プカプカ男 深海奏汰の2人でしょうか。

インパクト重視の彼らが同じ戦隊ものモチーフのユニット「流星隊」に所属しているという事実はなかなかクるものがある。もう滅茶苦茶だ。

戦隊ものというとだいたい「1つのテーマでまとまった5人組」という印象がありますが、流星隊は個々が違ったテーマ(個性)を持ったメンバーなのが違和感ポイント。そういう観点で見ると、戦隊を自称するまとまりはないように思います。

流れ的に「多分、守沢くんが勝手に戦隊にしちゃったんだろう」というのが伝わってくるのが良いですね。それが彼のアイデンティティでもあります。果たしてユニットの統率は取れているのでしょうか。

構成メンバーについても、正義の味方というキャラ付けを「面白そう」と感じて入った人達なのか、何だかんだ良い人オーラが凄い守沢の人間力に引っ張られた人達なのかなど、何かと気になるポイントが多い新ユニットです。

男性キャラが多い作品において、やはり特撮寄りの熱い系キャラは一つの王道と言えます。特にこういう猪突猛進型のキャラクターは、男性目線で見ていると何となく癒されるもの。

一方で女性向け作品のキャラとしては、あまり多くはないタイプかもしれません。だからこそ関係性を紡ぐ物語である『あんスタ』の中では、彼のような存在が良い味を出してくれる…というところでしょうか。

『あんスタ』は女性向けながら「男性の作家さんが書いているな」と感じるタイミングがかなり多いのですが、守沢は"男性が好む男性キャラ"の筆頭のような存在。彼を通してその作風をより如実に感じることとなりました。

深海奏汰くんは出オチ担当。
某アニメで初対面の人に「お日様をパクパクしてるの!」と言いながら日光を食っていた女の子が出てきたことがありますが、それを思い出したくらいに同質の狂気を感じる登場。

言動、行動、口調、テンションなどでおっとりとしたマイペースでおっとりした人という印象を受ける一方で、映像的にはパッと見目が全然笑っていないようにも見えました。

貼り付けたような表情と言うべきでしょうか。
そういう意味では英智にかなり近い顔をしていると思いましたが、彼よりも底の知れなさを感じる瞳をしていて、ある種の恐怖すら覚えました。

短い登場かつ、顔が映ったのは一瞬だったので僕の考えすぎかもしれませんが、『あんスタ』はキャラの行動や言動、性格を"そういうキャラ"で済ませず、丹念な理由付けを行うことで、1人1人の人間性を深めていくタイプの作品だと認識しています。

散々深読み感想を書いて「だいたい合ってる」と言われてきた作品なので、深海くんのキャラにも何かしらの理由があるのでしょう。とすればあの顔に用心しておくに越したことはない…と思っています。

割り切った関係性「Knights」

話に出ていた瀬名泉が所属するユニット「Knights」も初登場。

衝撃の朔間弟が登場。弟がいたのか…。
朔間パイセン謎の溺愛ぶりで色々と不安になる。

凛月と書いて「りつ」と読む。なかなかの難読ネーム。名前で困ったことがあるサブエピソードとかがあってもおかしくなさそうです。

弟くんは兄者を避けているようですが、冷静に考えると厨二病をこじらせすぎて棺桶の中でお昼寝している一人称我輩の兄がいたら、とりあえず他人の振りをしたくなるのが至極真っ当な身内感情だろうとは思います。仲が悪いとはまたちょっと違うベクトルの話かもしれません。

どちらかと言うと普段はテンション低めな辺りは兄弟揃っている様子ですし、きっと彼は彼で何か朔間零に近しい熱いものを秘めた男なのでしょう。だからこその兄弟。何だかんだ言いつつも似ているというのは、ありがちながらも確実なエモポイントです。

何より「あの朔間零に弟がいる」という事実が既に面白い。ああいうキャラクターに兄弟がいるというのはなかなかトリッキーな設定。だからこそ兄の奇人ぶりの陰に隠れない、彼らしい活躍を見せてほしいところです。

Knightsはスポット登場していた鳴上嵐くんと初登場の朱桜司くんのやり取りを見るに、ユニット間であまり深い友人関係を築き上げているようには感じられませんでした。他のユニットの関係性と比較すると、現時点ではドライで割り切った結びつきである印象を受けます。

瀬名の行動方針が伝わっていない(朱桜)黙認している(鳴上)という状態からも、個人感情に深入りすることはせず、利害関係や損得勘定を主軸において活動している"個"を立てたユニットだと推察しました。

実力も優勝候補クラス、その歴史も長いユニットということで結成や活動の内容に他のユニットにはないプライドや重みがあるのかもしれません。

まだまだ謎が多い…というか顔が見えたこと以外はほぼ謎しかないユニットです。個性派揃いなので徐々に良さを知って行ってあげたいですね。Trickstarの対戦相手ということで、近い将来それが見えることに期待します。

Trickstar それぞれの想い

ではいよいよTrickstar周りの話に移って行きます。
8話の本題は、彼らが同じくする想いと、逆に価値観によるすれ違いだったと感じています。

壊れないために前を向いたスバル

fineの圧倒的なステージを目の当たりにし、次々と天祥院英智の思惑通りに動き出してしまうTrickstarの面々。その中で1人だけその場で踏み留まっているのが明星スバルでした。

状況だけ見れば、信じた仲間達に裏切られて独り取り残されてしまったと言っていい状態ですが、それでも彼は決して仲間達の行動を責めたりしませんでした。

それはスバルもきっと英智の存在に少なからず影響を受けたからでしょう。だから感覚派である彼にも、仲間達の選択に理があることを感じ取ることはできていたと考えます。

ですが後半で「あいつらが他のユニットに魅力を感じて…」と言っていたように、スバルがあの一件で受け取った最も大きいものは「fineのライブが心から魅了されるほど素晴らしいものだった」というあくまでポジティブな心の動きなようです。

他のメンバーはどちらかと言えば英智の提案の方に心を揺らされたはずで、fineのライブは翻弄された彼らの心にトドメを刺す以上の意味を持っていなかったと思います。英智もそう思って動いていたはずです。

その点スバルは、そもそも英智の提案を全く気に留めていないと見えます。現に8話でスバルは英智の話を1秒もしていないし、それに紐つけて仲間のことを語っているシーンもありません。

父親の存在についても(どうも一悶着ありそうな気配はありますが)スバルは基本的に前向きに捉えている様子。それが英智にとっては誤算だったと推測することもできますね。

ただ、「凄いものを見た」という評価点だけが仲間達と共通しているので、それに影響を受けて"最良の行動"を選んだ仲間達の心の動きを理解することはできる、ということでしょう。

スバルに関しては、コンプレックスを刺激された上でfineに圧倒されて心が折れてしまった他のメンバーとは、受け取っているものが根本的に違うのだろうと思います。

父親の影を追いかけ、独りで突っ走って周りを困らせてばかりいたスバルにとって、自分を受け入れて"本当の仲間"になってくれたTrickstarは絶対に替えの利かない存在だったはず。

どんな状況でどんな理由があっても、絶対に無くしてはいけない存在。自分が前を向くためには、常に共にあらなくてはならないものだった。

だから無くすなんてことはありえない。少なくとも彼の中では。

過去の失敗を考えれば、そうやって自分の感情優先でしがみついて、大人な選択をした周りと違いTrickstarに固執している自分に思うところもあったでしょう。それは本当にスバルの弱点なのかもしれません。

でも、そんな経験をしているにも関わらず、なおTrickstarにこだわろうと思った彼のその前向きさを、今は尊重してあげるべきタイミングだと思います。

その感情がきっと、Trickstarを良い方向に導きます。

壊されないために後ろを向いた北斗と真緒

一方で北斗達は「Trickstarを潰されたくない」という後ろ向きな理由で解散を選んだことが明かされています。北斗は特に、英智の弁舌に翻弄されてしまっているようです。

大きな結果を残したからこそ、次を求められるもの。Trickstarはこれから結果を残さなければならない立場に回っていくことになります。

ここから何も為せなければTrickstarはまぐれで勝ちを拾った一発屋。院内評価は失墜、有象無象の生徒達は彼らを裏でコソコソ笑うでしょう。Valkyrieがそうであったように、です。

そうすればTrickstarは今の形すら保てなくなる。絆はより悪い形で崩壊し、4人で楽しく前に進む時間は二度と訪れないと考えても良いかもしれません。

結果を残さなければ埋もれたままでいられました。
這い上がるために努力を続けている期間は、辛くもあり楽しくもある。"変わらない"ことは得てして"楽"に繋がります。

でも彼らはもう、それ以上を考えなければいけない。
そして英智に目をつけられた以上、まだ発展途上であるTrickstarは、為す術なく潰されていく可能性の方が高い窮地にあると言えます。

紅月に勝てたのも朔間のバックアップがあってこそ。抜け道を使った裏技のようなものであり、真っ向勝負で実力が上回ったわけではありません。革命の足掛かりとしては大いなる一歩でしたが、その結果が彼らの実力を底上げしてくれるわけでもないのが現実です。

だとしたら北斗や真緒が「最高の状態」でTrickstarを封印し、自らの輝かしい原点として礎にしたいと思うのは自然でしょう。最もリスクがない選択だし、"大人の判断"として理性的です。

将来「あの良い思い出があったから俺はこうしていられる」と前向きな存在として心に留めておきたいと思ってしまうことは、責められることではありません。

それくらいTrickstarという存在が4人にとって大きなものであったし、自分達にステージに立つ本当の楽しさを教えてくれた掛け替えのないものだとそれぞれが思っている。開幕で語られた初めての4人のステージを、心から大切なものだと全員が思っている。

だからこそ、価値観や立場の違いからすれ違ってしまうという、現実でも決して少なくないような残酷で悲痛な一幕が描かれていると思います。

…でもこういう時って、理性的な判断が最も自分を納得させられると信じて行動してしまうものの、その逃げ腰によって不完全燃焼で終わってしまうことの方が、大人になってから大きな後悔に繋がるものなんですよね。

傷つかないことが正解だと思っている辺り、まだまだ彼らは子供です。立ち向かって傷ついて、たとえ悪い結果になってもそれを乗り越えた方が清々しい人生を送れる。

だから彼らはTrickstarをこんな形で辞めてはいけない。それに気付くんだ!

立ち上がるtrickster

独りになってしまったTrickstarは2人以上のユニットでないと出場できないDDDに参戦する権利がありません。

そのどうしようもない大ピンチを救ったのは我らがあんずちゃん!超絶美少女!かわいい!

「これであんずは正体不明の謎のアイドルXに生まれ変わった!」

じゃねーよ。
誰がリーダーだと思ってるんだ明星。大切にしろ。
覆面はもっとこう斎宮さんとかに頼んでデザインしてもらったらいかがか?

あんずのおかげで「独りじゃない」ことを実感できたスバル。
その後、朔間によってKnightsの策略(瀬名泉の独断)を告げられたことで、真が望んでTrickstarからの脱退を決めたわけではないことを知ります。

冷静に考えてあの瀬名泉がいるKnightsに真が進んで入るとは思えないし、それ以前に彼がTrickstarを辞めることを望むとはとても思えないのですが、どうして彼は何かと決めつけられてしまうのだろうか。誤解されない適切な自己主張が遊木真の課題かもしれませんね。

しかして、その事実がスバルを奮いたたせることに。

「仲間は助ける!絶対に!」

この言葉が向けられた先は何も真だけだったわけではないでしょう。

もし3人が望まない形で今の選択をしているとしたら、自分が輝くことで皆を望むところに引き戻せるかもしれない。

スバルはこの時そう思ったと僕は受け取りました。

そしてそれを全力で成し遂げることが、体制への"trickster"たる自分の役目である。

そう自覚した(と言っても難しいことを考えているわけではないと思うが)彼に、もう恐れるものはありません。想いの向くままステージの上で輝いてほしいと思います。

仲間を取り戻すためのTrickstarの新しい歩みに期待します。

ごめんねぇ…ゆ~くんっ♥

クレイジーサイコホモ確定

1人でどうやって縛ったの…。

おわりに

8話はマッハで駆け抜けすぎた印象。
Aパートでアニメ終わったかと思った。この詰め込み方…正に菱田イズム…。

何をどうやってまとめたら良いのか分からず、正直今週は過去最高に記事を書くのに難儀しました。情報量の暴力。

いつも1回見てから記事にまとめる要点を定めて構想を練り、細かいところを見直しながら執筆しているのですが、今回は書きながら追加で3回くらいアニメを見た気がします。

アニメも1クール目の後半に差し掛かったことで初見なりに積み重ねも増え、理解できる部分も増えてきました。

その結果、大きな動きのある回は書きやすくなってきたのですが、今週のような話に動きが少なく、設定と関係性を膨大に放り投げられる回は「とりあえずスルー」できる箇所が少なくなってきて、逆に文章化のハードルが上がりつつありますね。

8話は他にも教師間に根付く大人の関係性が垣間見えたり、今後に大きく影響しそうな細かいポイントも多かったと思います。全てを記事には書き込めていませんが、もう少し多くの点をチェックはできていると思います。

各キャラが深く掘り下げられる際に拾っていけたら良いなと思っています。毎週読んで下さる方も増えているので、可能な限り多くのキャラに触れて行くつもりではいるので、今後とも生暖かく見守って下さると幸いです。

それでは今週はこの辺りで。
お読み頂きありがとうございました!

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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