あんさんぶるスターズ!

キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編㊵「花吹雪*皐月の藤紫」

2021年4月4日

引用元:『あんさんぶるスターズ!!Basic』「花吹雪*皐月の藤紫」

さぁさぁ今回が40個目のストーリー。冷静に考えて40ってなかなかの数字ですよね。あと幾つ書いたら終わりが見えてくるんだろう?(終わりなんてないが)

取り扱うのは「花吹雪*皐月の藤紫」です。

新キャラクター 三毛縞斑が参戦する2017年度の現代軸最初のストーリー。夢ノ咲学院からは最後となる新アイドルの登場です。

アニメでも後半で顔がチラ見せされた程度で、深いところは一切分かっていない斑さん。その独特の立ち振る舞いに始まり、1人で「ユニット」を名乗るイレギュラー、あんずとの過去の関係性を匂わせるなど、異色に異色を塗り重ねたミステリー存在です。

彼のことを知って行くのはこれから先と言ったところでしょうが、まずは原作での顔見せであるこのストーリーから。謎めいたママを中心にした物語は、過去2年とは一線を画する作風で僕を楽しませてくれました。

今回も紐解いて参りましょう。よろしければお付き合いの程を!

異団混合のお祭り騒ぎ

時は巡って再び年度はじめ。2年に渡って複数のキャラの到達点を見たことで、だいたい『あんスタ』の世界で描かれるものもオーソドックスには理解できてきた頃合いです。

1年目は全てが新鮮、2年目は発展。ここまでは何が来ても楽しいですが、3年目ともなるとマンネリが心配される時節に入ります。良く言えば安定期、だからこそ大きなトラブルが起きやすい1年でもあります。

多くのアプリゲーがだいたい一度はこの辺りで蹴躓く印象で、そこを上手く乗り越えた作品はその後も発展を続けていると思います。衰退と加速。それがハッキリと分かれるのがこのタイミングです。

しかし現在の『あんスタ』の盛り上がりを見るに、その心配は無用と言ったところ。と言うことは、逆にこの1年はより大きな期待をして読み進めても良いということになるでしょう。

そのスタートとなる「皐月の藤紫」は、新キャラの三毛縞斑を筆頭にとにかく"自由"の一言がふさわしい内容に。今までのアイドルにはない破天荒さとたった1人で活動するそのスタイルで、斑は確実に『あんスタ』を今までとは違う方向に引っかき回してくれました。

具体的に言えば、この「皐月の藤紫」はユニット単位でライブが行われない極めて珍しいイベントとなっています。

斑が過去に所属していた流星隊は話に噛んでいるものの、入ったばかりの翠と鉄虎は未登場。そこに加わる陸上部の面々にほぼ巻き込まれの神崎颯馬など、本来であればアイドルとして共に活動することのないメンバーでライブが行われます。

今までのストーリーは「このユニットとこのユニットのドリフェス」とされているか、「ライブをするユニット+関係者」という構図がほとんど。異団混合でライブを行ったケースは、記憶の中では「ジャッジメント」のナイトキラーズくらいでしょうか。それも即席"ユニット"という扱いでした。

「皐月の藤紫」はそういった側面が全くなく、「とりあえず三毛縞斑の周りに集まった人」でライブが始まります。1チーム1つの演目に関係する人数としては現時点では最多で、正に"お祭り騒ぎ"という言葉がよく似合うイベントだと言えるでしょう。

それ故にこのイベントは、「何を目指しているのかが全く見えてこない」まま進行。そして「何がしたかったのか全く分からない」ままに終わります。

みんなが楽しそうで良かった

『あんスタ』の物語は基本ユニット単位でキャラクターが前を向き、成長していく姿が描かれています。その間を補完する形で部活動などの個人活動が挟まりますが、最終的にはユニット別で活躍するイベントストーリーに多くの結論が集約している印象です。

ドリフェス及びライブ活動はそれらを表現する場として活用されていることが多く、ここまではほぼ確実に何かしらの到達点が描かれて終了しています。

今回は「それがなかった」というのが、今までとハッキリ異なっている部分です。

ライブを経たことによって変化したものが、強いて言えば「三毛縞斑の印象」くらいしかありません。こんだけ尺を使って全てを吸収して行くとは末恐ろしい男だ。

これは何も語られていないという意味ではなく、それぞれのキャラクターごとに際立った輝きは見せてくれています。ただそれは今後の伏線であったり、現状への納得であったり、過去のストーリーの補完であったりと、このストーリー単体で完結するものではないのです。

よって多くの人が「皐月の藤紫」から得られる最も大きな感慨は、「なんかみんなが楽しそうで良かった」ではないでしょうか。少なくとも僕は読了時から色々考えた上でも、やっぱりこれだなと思っています。

実際このストーリーは確か執筆の要望も届いていなかったはずですが(記憶違いだったら申し訳ない)、読んでみるとだいたい納得です。これは人に読み解いてもらいたい類いの話ではないですよね。でも人の反応が見たい類いの話ではないかと。動画が用意できていて良かったです。

さて、長々と語ってきて「なので特に言うことはない」で終わりそうな雰囲気になっておりますが、決してそんなことはなく。僕としては、久々にキャラについて語り続ければよいだけのストーリーに巡り合ったという感じです。

というわけで次項では「皐月の藤紫」の登場キャラクターについて1人1人見て行こうと思います。ダラダラと共に楽しんで頂ければ幸いです。

お祭り男 三毛縞斑

もちろん今回の主役はこの人。たった1人でユニットを貫くみんなのママ。三毛縞斑さん。

アニメでは"ヤバい人"以上の存在ではなく、正直今回でもその印象は変わらず。

辻斬りと称される勧誘活動に勤しむ謎のアイドル。海外生活が長い(?)からか、学院内でも認知度はさほど高くないようです。

過去には流星隊に所属しており、先代の副隊長を務めていたこともあるユニットの功労者。千秋とも親交が深く、奏汰とは過去に何かしらの因縁がある様子です。「涙と絆の返礼祭」にて"元流星隊のお祭り男"として名が挙がった時は、ビックリ以外の何物でもなかったです。

流星隊は長らく先代の存在がほのめかされてはいたものの、直接的に言及されたのは今回が初めて。"副"という肩書がフィーチャーされたとなると、先代の隊長のことが気になるのが人間の性。まぁ今までの傾向からしてあまり良い話が待っているとは思えませんが、しっかり押さえておきましょう。

ただのお騒がせお祭り男かと思いきや、藤祭りの統括を任されていたことが途中で判明。学院内でも朔間零の後任に就いて姉妹校問題の解決に当たるなど、責任あるポジションを与えられる人脈と実績を持っているのは確かです。

陸上部では他のメンバーを圧倒する結果を出す実力者でもあり、その肉体は体力自慢のアドニスでさえ跳ね除ける強靭さを持っているようで。フィジカルもメンタルも、全キャラクターの中でも上位に食い込んでくると推察されます。

また辻斬りと呼ばれていた勧誘行為も適当に選んでいるのはなく、与えられた責務を果たすために必要なメンバーを揃える意図があった様子。洞察力や分析力も優れているし、行動力・観察力もある方なのだと思います。

反面、人との距離感の取り方にはやはり難があるようで、今回も天満光との関係性の構築を見誤ってしまいました。ただそれは相性が良いメンバー(今回で言えば忍)とは即打ち解けられる魅力でもあり、考えようによっては長所と言えるかもしれません。

意外だったのは、その光とのやり取りの齟齬を即座に反省し、彼との対話の仕方を変更しようとしたことです。あんな来る者拒まず去る者追わずと言いたげな雰囲気でいながら、人間関係については思っていたよりも真摯だと分かりました。

こういうキャラ(人)は誰とでも仲良くなりたいと言いながら、その実自分のスタンスを崩せず、結果「限られた仲良くなれる人とだけ仲良くしている」ことが割と多い印象があります。

斑はその点で本質的に「誰とでも仲良くなりたい」と思っている節があり、そのために必要な努力をすることに躊躇いがないキャラクターのようです。でもあのまんまのキャラですごい歩み寄ってくるのって、ある意味でめっちゃ怖いですよね。

相手の良いところを見て認めようとしてくれるし、それを正確に伝えて打ち解けようとしてくれる。正直あのテンションだとウザいはウザいけれど、前向きな気持ちが向けられていることには誰もが気付くことができる。

だから表面的には毛嫌いしているようなキャラたちでも、どこかで「まぁでも良い奴だからな」と思えてしまう。

そんな魅力がある人物なのだろうなと思いました。

ポジティブ方向で見るとスバルや千秋に似たタイプですが、スバルは"正直"なだけで愚痴も文句もそれなりに言いますし、千秋は"頑張って"今の自分を作り上げている印象のあるキャラクターです。

それに対する三毛縞斑は、根元から完全にポジティブのオバケだと言っても良いようなキャラクター。ただそれもまた演技なのかもしれないと思わされる底の知れなさがあって、現時点でその人間性を断定するのは無理があると感じ取っています。

現に過去には流星隊のメンバーが彼に怯えて去って行ってしまったことも明かされており、完全な"優しい光"の体現者ではないのも事実。斑も最初からこうだったのではなく、学ばなければならないタイミングを経ての今なのかもしれません。

面白い奴と言うべきか胡散臭いと言うべきか。まぁ仕方ないな、だって鳥海浩輔なんだもの。という感じです。とりあえず今後どんな"顔"を見せてくれるのかが、より一層楽しみになったのは間違いありません。

今回活躍したキャラクター達

それでは他のキャラクターたちについて、1人ずつ気になったところを見て行きましょう!

守沢千秋

斑と過去に直接関係のある人物として登場。彼のスタンスからかなり影響を受けているようで、現在の守沢千秋に繋がるルーツの1つに三毛縞斑は上がってくるのでしょう。

全体的に斑の良いところを感じ取りやすくしてくれていた印象で、千秋のおかげで斑の本質が見えていたところは大いにあると思います。また千秋自身が誰かに尊敬の念を向けるというシーンが今までにあまりなく、そういう意味でも今までにないやり取りを見せてくれました。

元々ヒーローに憧れている少年ではありますが、身近な人に対しても"憧れ"をかなりまっすぐ外に出すタイプだったことが分かって微笑ましい。今回はまだ3年生に上がったばかりで自分への自信が中途半端な時期だったのもあり、かなり少年らしい初々しさが見られたと思います。

2017年度以降は、こういった角度から千秋のことを見られる機会も増えるのでしょうか?彼には人間臭いところを、どんどん見せてほしいですね。

深海奏汰

花鳥園の池に潜る奇人。おい。事と次第では怒られるでは済まないぞ。

流星隊では最もパーソナルな部分が語られていない3年生。千秋と奇人に海洋生物部と良さげな関係性はたくさん持っているのですが、そのどれもでのらりくらりとしているせいで未だに謎が多いまま。ママ。

今回では三毛縞斑と古い関係性を匂わせる台詞が多くあり、もしかすると千秋よりも長い付き合いなのかも?と思うこともしばしばでした。

家庭内不和などの新情報に加え、流星隊の1年生との距離感への愚痴をこぼすなど、初めて"人間"としての彼が見られたストーリーになったように思います。

斑のことは『ごろつき』と呼び遠ざけているものの、何だかんだ言って認めているところもあるようで。長い付き合いになればなるほど、悪態をつくことで親密さを表現する関係性も成立しやすくなります。そのような感じなのかもしれませんし、そうであれば相当に深い関係であるとも言えますね。

そして奏汰を紐解く上で今後重要になりそうなのが、今回明かされた家族との関係でしょう。特に父母に関わる部分については、一筋縄では行かない背景があるのは確実です。『あんスタ』のキャラは出生に並々ならぬ事情を抱えている人が多いからなぁ…。

奏汰は蓮巳とも家族間の関係性を匂わせていましたし、より学院外の事情が彼の物語に大きく関係しそうな雰囲気があります。

元々千秋と2人セットで考えるべきだと思っていたところ、斑というより古くからの彼を知っていそうな友人(?)がいよいよ登場しました。はてさて、ようやく深海奏汰という人間を語ることができるようになるのかな?その時が来るのが楽しみですね。

仙石忍

癒し枠。辻斬りの被害者。

「風雲絵巻」で語られた過去、「涙と絆の返礼祭」で語られた物語など、ここまでの積み重ねがあることで「ただ楽しそうにしている」だけでエモーショナルな空気を醸し出す天才に。時系列順に読んでいるからこそ、感じ取ることができる楽しさでしょうね。

特に何かをしたわけではないものの、確実にいた意味はあった。そんな美味しい役どころ。

彼にとって夢ノ咲学院で出会うことは(実害がない限りは)楽しいことばかりで、とにかく目の前で起こる全てのことを楽しもうとしているのが分かります。何かとしがらみが多いこの作品内で、そういう100%の希望を持っているキャラは貴重だと改めて感じます。

そんな愛らしさがたまらなく光っていた今回の忍くんでした。癒される。

神崎颯馬

ほぼ意味不明に巻き込まれてしまった紅月の2年生。アドニスと友人、奏汰とは部活仲間と複数の繋がりはあるものの、だからと言って(本来であれば)参加する理由にはならない気がします。

藤祭りの演目内容に合致する"キャラ"を持っていることで、斑からの積極的な勧誘を受けてなし崩し的に参加。辻斬りの犯人を成敗するはずが、実質的に本編最大の辻斬り被害者になっていたという皮肉があったりします。壺とか買わされそう。

源氏の末裔という謎設定が登場し、源平合戦をモチーフにした藤祭りのキャストとしては正に打って付けの人材。それも考慮されてか牛若丸に配役され、敵愾心を剥き出しにしていた斑(弁慶)と交流を深めることになりました。

神崎は元々由緒正しき家柄の生まれであることもあり、育ちの良さが垣間見える生真面目さと、古き文化を象徴する固定観念を行動指針に据えているキャラクター。斑のような自由と破天荒さで突き進むキャラとは、根本的にそりが合わないのは仕方がないことと思います。

しかし神崎はそんな家の生まれながらもアイドルを志し、新しいものを吸収しようという気持ちも強いことが過去のストーリーからも判明しています。

そのスタンスのおかげで初対面は最悪の印象から始まった斑についても、後半に行くにつれて根源的な良さを感じ取って認めようとするところを見ることができました。

神崎の場合、感情を頭で自制して打算的にそうしていると言うよりも、「感情の趣くままに交流すれば相手の良いところが見えてくる」ような感受性を持っているとする方がしっくり来る印象です。

普通にしていれば自ずと正しい方向に行けるという、極めて実直な人間性。そんなところからも育ちの良さとか、彼らしさを感じ取ることができますね。

神崎はまだまだキャラクターとしての掘り下げが中途半端な位置で止まっている気がしており、今後より深いところが見られるストーリーが展開されることに期待が高まります。

バックボーンの大きさは全キャラでもトップクラス故に、彼もまた家庭内の事情が絡んでくるのかなという予想はあります。アドニスとの"ただの友人"関係に加え、今回で結ばれた斑との数奇な縁など、プライベートな関係が多いのも特徴。

その彼が2年生に上がったばかりのこのタイミングで、三毛縞斑という観念ブレイカーと出会えたことは重畳だったと言えるのかも。こういった出会いを踏まえて、独自の切り口で活躍してほしいと思う今日この頃です。

天満光

斑に手を抜かれて不満げな陸上部の1年生。走りの才能は外部からも注目される逸材なこともあってか、勝負事は真剣にやりたいタイプな様子。

全力を出されたら勝てないと思わせる斑もすごいのはもちろん、斑の采配を直感的に感じ取れる光の目(感覚)もお見事でした。

「七夕祭」や「スカウト!BADBOYS」でも自分の外側を意識した聡明な(?)発言が出ていたのが印象的でしたが、入学当初に当たる今回でもそれは変わらずと言った感じです。

つまりそれは夢ノ咲で培われたものではなく、元々彼に備わっている人間的な素養ということですね。何かを考えているわけではないものの、歩んできた人生によって感覚的に自分の立ち位置を感じ取れる。そういう意味では、神崎と少し人間的な性質が似ているのかもしれません。

現段階では三毛縞斑という人間は感情の振れ幅を好む傾向がある気がしていて、直情的な神崎や光は彼と相性が良い存在だとも思えます(※もっとも『あんスタ』は総合して感情的なキャラが多い作品なので、そういう意味で斑は文字通りに「愉快愉快」な場所に身を置いていることに)

そして光自身が斑に可愛がられる存在となったことで、キャラの深みが1歩増進した印象です。

彼の所属するRa*bitsは「かわいい」をコンセプトにしつつ、仁兎なずなを分かりやすいトップに据えたユニット。起こりの事情も相まってユニットその物の完成度が最初から高く、安定感と安心感を醸し出しています。

故にRa*bitsは駆け出しとして4人で1つの存在として物語を展開することが多く、(特に1年生は)個々の発展が印象に残りにくいところがあったように思います。

その辺りを真白友也が演劇部絡みで克服、紫之創が多様な関係性を活かして細かく存在感を残す中、光は少々発展部分に物足りなさがあるイメージでした。

今回はっきり描かれた斑及び陸上部と光の関係が、彼をより成長させてくれるのは明白です。それらが見えてきた後で、改めてRa*bitsにスポットが当たる瞬間の輝き。そこまでを1セットで楽しめたら良いなと思います。

鳴上嵐

すごい久々に会った気がする。そもそも12月の「スタフェス」以来に執筆済のストーリーでは、Knightsの面々が登場すること自体なかったような…。

そんな状況ではあるものの、今回は陸上部合わせでの登場なため、さほど目立つこともなく。周りが引っかき回される中、至って普段通りの嵐でいてくれた印象です。一緒にステージに上がっているはずなのに、終盤で全く台詞がないせいで霊圧が消える珍事を引き起こしてしまう。

2年生でありながら先輩相手に物怖じせず、自分のスタイルを貫く様は陸上部でも健在。

斑に対しても、冷静かつ対等に近い立ち位置でやり取りすることができていました。

その中で、彼だけが斑のことを基本的に「ママ」と呼ぶのが特徴的。

過去に行動を共にしたことがありそうなのも関係していると思いますが、気持ち的にはやはり自分にも「そう呼ばれたい」と感じる肩書(?)があるからでしょうか。斑が何故自分のことを「ママ」と言っているのかは分かりませんが、その点は斑と共感できるところがあるのかもしれません。

斑とのやり取りの中では過去からの変化を指摘されたりと、「追憶」に向かう伏線のような部分も微妙にアリ。いよいよ間近に迫ってきましたが、さてはて、どうなることやらです。

乙狩アドニス

今回の日常枠(日常枠とは?)

陸上部の2年生で神崎と仲良し。神崎と楽し気な友達トークを展開し、嵐と2人で部活の後輩となった光をあやすという極めてゆるりとした活躍に終始したアドニス。「皐月の藤紫」では意外と接点が多いのだが、彼も終盤で全く台詞が無くなり存在が消えてしまう。

物語の展開だけを見ると、恐らくいてもいなくても内容は変わらないのですが、上記した関係性を結び付けるためにはなかなかニクい活躍をしたという印象。

神崎が斑と出会い、良い方向に交流できたのはアドニスあってのことですし、陸上部内の穏やかな空気感を作り出すにはやはり彼が必要です。図らずとも知り合い同士の手と手を繋ぎ合わせる役回りに入っていると言うのが、実にアドニスらしいなと思わされます。

アドニスがいなくとも話は成立するとは言え、それだと少し創り手側の事情を感じる雑味のある話になっていたはず。そこを滑らかに繋ぎ、自然な人間関係を成立させる。それをしてくれる人こそが、実は物語における影の功労者だったりするものです。

現実でもフィクションでも、間を取り持ってれる人の人間性って重要ですよね。そんなことをしみじみと感じさせてくれるアドニスくんなのでした。

おわりに

「花吹雪*皐月の藤紫」は、新キャラと共に送る爽快で和やかな雰囲気のストーリー。三毛縞斑の人間性が反映された、元気が出るタイプの物語でした。

最近はとにかくエモーショナルな話が多かった印象で、ストーリーの主だった部分を文章化するのに必死になっておりまして。解釈が大変な話が続く中、キャラのことを集中して見られるお話が読めたのに少し懐かしささえ覚えてしまいました。

それだけ多くのストーリーを読んできたということですね。いい加減「いつまで"ミリしら"なん?」と思われるかもしれませんが、まぁミリしらから始まった感想ということで今後もそのまま行きましょう。

ちなみにキャラを語るだけだからすぐ書けるかなと思いきや、登場人物全員1人1人のことをしっかり書くというのが久々すぎたせいか、案外そうでもなかったです。記事でもまた、こういうのもやりたいですねぇ。

そろそろアレが近付いて参りましたが、次回は「その前に読んでおいてほしい。ついでに1記事で書いてほしい」というメッセージを頂いた「スカウト!」ストーリーです。弾みをつけて行こうと思いますので、何卒お付き合いください。

それでは超感想エンタミアのはつでした。また次の記事でお会い致しましょう。

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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