あんさんぶるスターズ!

キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編㉞「ノクターン」&「エキセントリック」

2020年12月31日

引用元:『あんさんぶるスターズ!!Basic』「スカウト!エキセントリック」

2020年最後の記事は2016年の瀬のストーリー。
「スカウト!ノクターン」&「スカウト!エキセントリック」です。

クリスマス直前と2016年最後を飾った掌編を、2つまとめてお届けします。

どちらもアイドル活動から離れた、キャラのプライベートな一面に着目したストーリー。年末年始に楽しむにはちょうどいい内容で、感想もゆったりと読んで頂けると思います。

今回は少しのんびりとしたテンションで書いて行きましょう。それではお楽しみ下さい。

スカウト!ノクターン

引用元:『あんさんぶるスターズ!!Basic』「スカウト!ノクターン」

クリスマス前、イブイブライブやスタフェスの準備を進める衣装班のドタバタ劇をフィーチャーしたストーリー。それが「スカウト!ノクターン」です。

幼なじみの鬼龍紅郎と斎宮宗を中心に据え、手芸部との関係性も取り上げられた独特の進行が光る物語。またValkyrie(手芸部)の影片みかと校内アルバイトで仲良くなったという紫乃創が登場し、ただでさえ混迷を極める関係性に新たな要素が追加されるサプライズが。

創は仁兎率いるRa*bitsの一員でもあり、斎宮と影片には相応に思うところがある相手の1人でもあります。創と仲良さげな空気を醸す影片から「Ra*bitsはなずな兄ィを奪った憎たらしい敵」という発言が出た時は、こちらの感情が迷子になりそうで大変に困りました。

影片は立場上、Valkyrieに仇なす者には敵意を向けることがあるものの、基本的には人を嫌いになることがあまり得意ではないのでしょう。何だかんだ言いつつも、相手の善良性を感じ取ると仲良くなってしまう傾向があると思います。

今回最初にその影片と共に行動していたのは、手芸部の一員である青葉つむぎです。手芸部はValkyrieの2人とつむぎしか在籍者がおらず、過去の出来事を考えれば地獄以外の何物でもないという状態。

当時から手芸部がこの形を取っていたらしいことを思うと、「エレメント」にてつむぎが夏目に音響事故の話をした時のテンションには、より大きな歪みを感じさせられると言うものです。

現代軸でつむぎが活躍するストーリーは、ここまでSwitch絡みが中心。過去と異なり"先輩"として振る舞う姿を見てきましたが、「ノクターン」では現在の横の繋がりを意識した関係性を楽しむことができました。

率直な感想を言うと、現在のつむぎは思っていた以上にドライな現実主義者だったということですね。

発言の端々から「結果的に上手く行くなら良い」のような価値観が見て取れるため、一側面においては英智以上に残酷で冷酷な部分もあるように思います。さすがは皇帝に利用価値があるとして見初められた男だったという感じでしょうか。

斎宮のマドモアゼルに関しても「腹話術だ」と決めつけて頑なに譲りませんし(※斎宮も頑なにやめない辺りに謎の対抗心を感じてシュール)、話を合わせてファンタジックな世界観を作ろうとする気配はありません。かと言って、それを否定することもないのが彼らしいところです。

物事を淡々と物的に処理しすぎてしまっているため、人の心を慮って寄り添うことが不得手なのは相変わらず。むしろ英智との一件を経験したせいか、より尖った考え方に依って行ってしまっているような気さえします。

確かに多くの人の期待に応えて最大幸福を目指して行くと、究極的には利益追求のみで損得勘定を行うのがベストだという結論には至るでしょう。つむぎのような人間は、人生経験を積めば積むほどに"心"を失って行くように見えるのかもしれません。

そんな中で彼が得たSwitchという新たな止まり木は、つむぎの価値観を薄めて全く違う自分を追求できる居場所となっているのだと思います。

共感覚を持ち、つむぎとは逆に他人の心を分かりすぎてしまう春川宙。そして他人の心を掌握し操ろうとするも、どこか感情的な振る舞いが拭えない魔法使いの逆先夏目。

全く違った性質を持つ2人の後輩を導く年長者として、彼の心にも幾何かの変化が訪れている。それをこういった日常的な一幕を挟むことで、より深く感じ取ることができるなと感じます。

"幼なじみ"という存在

手芸部から少し離れて「ノクターン」のもう1つの柱。鬼龍と斎宮、この幼なじみも見て行きましょう。

今までのストーリーで幾度となくチラつかされてきた彼らの関係性ですが、ガッツリ会話するシーンが登場するのは今回が初めてな印象です。過去の会話は"有事"に手を差し伸べるような空気感で展開されていたため、フラットな日常会話は特に見られていません。

幼なじみという関係性を持つ彼らの関係は、それ以上でも以下でもないと言ったところ。

古くから付き合いがあるだけで、持っている価値観や現在の友人関係、学院内での行動範囲やコミュニティなどに一切の被りはありません。

価値観1つとっても「自分にできることを全うする」を1つの信条にして今の活動に全力を注いでいる鬼龍に対し、「自分のやりたいことを妥協なく突き詰める」のが斎宮です。全くと言って良いほどに2人は噛み合わず、今は口を開けば口論になる状態です。

価値観を大きく違えれば周辺の環境や関係も全く真逆なものになるのは当然で、とにかく互いのことが何から何まで気に入らないといった雰囲気。自分の言うことを全く聞こうとしない相手なのに、なまじ旧知の仲なせいで言わずにはいられない。ここまでの積み重ねを熟知してしまっているが故に、相手を腹立たしく思うところもあるのでしょう。

さらに片や不断の努力と強い意思で技術を会得して積み重ねている少年で、片や自身の才能に傾倒して突き詰めた結果が積み重なっている少年です。どちらも一流のアイドルとして活躍する逸材なのに変わりはないですが、そこに至るまでのアプローチも全くと言って良いほど異なっています。

だからこそ、鬼龍と斎宮は自身にない刺激を与え合える存在であるとも言えます。

例えば、全然薄い関係でこんなことを言う相手が目の前に現れても無視してあしらうでしょうし、かけられる言葉は唾棄して追い返すことくらいするはずです。そこそこの友人程度なら、縁切りも考えられるようなやり取りを2人はしています。

それでも彼らが互いに言葉をぶつけ合って熱量ある"喧嘩"ができるのは、ひとえに「彼らが幼なじみである」以外に理由はありません。過去から連なるその深い関係性は、真逆かつ失礼な態度と物言いさえも許容させる。それほどまでに大切な相手となっているのです。

誰しも歳を取るにつれて、自分と近しい価値観や感性を持つ者とだけ付き合うようになるものです。いちいち反対論者を身近に置いていては疲れてしまうし、やりたいことを実現するための枷は1つでも少ない方が良いと思って当たり前だと思います。

自ずと自分のやり方を過ちだと言ってくれる人は少なくなり、出会ったところで遠ざけることに何の疑問も抱かなくなる。そうして完全に自分の世界が出来上がってしまった時、人の成長はストップして才能の枯渇がスタートし始めるのです。

こんなこと言われたくはないが、こいつの言うことなら何でも許せる。頭ではなく心でそう解釈できる友人やパートナーは、人生においてとても貴重で掛け替えのない存在になり得るものです。表現者同士であれば、それはより必要な相手だと言えるでしょう。

そうなれる代表格が幼なじみや古くからの友人で。鬼龍紅郎と斎宮宗は恐らく、互いがそういう心を許せる相手であることを理解し合っているのではないかと思います。

斎宮は元々口が悪い方ですが、鬼龍に対しては失礼を通り越した侮辱に近い物言いをします。正直、人間性を疑うレベルの発言が幾つも飛び出していた印象です。そして鬼龍は鬼龍で、夢ノ咲の人間と会話する時には見せないような強い感情、恫喝に近い物言いを斎宮に向けています。

この2人の会話を見て、仲が良いと思う人はさほどいないでしょう(つむぎはそう解釈していましたが、あれは「喧嘩するほど仲が良い」という言葉の意味を深く考えずに捉えているだけのような気が…)

ですが、当事者の間では酷いやり取りほど「酷い会話が当たり前に成立する相手」という認識であることが多いもの。長い年月の積み重ねは、およそ表面的なやり取りでは理解できない絆を生み出しているのが世の常です。

ですから「ノクターン」の鬼龍と斎宮の会話を見た我々は、「なんかよく分からんがこれで仲が良いんだな…」と感じ取るのが恐らく正解で、彼らのことは「それで成立している2人である」と認識して微笑ましく見守ってあげるのがベターなのだと思います。

周りには決して理解できないようなやり取りの中に、確かに存在する互いへの想い。それこそが彼らが育んできた友情という概念その物であると僕は思っています。

過去と現在、その全てを知る唯一無二の友人は、今後の人生で彼ら2人を救い続けることでしょう。それはきっと、人生における最高の財産として残り続けるもの。是非とも大切にして行ってほしいと思いました。

スカウト!エキセントリック

引用元:『あんさんぶるスターズ!!Basic』「スカウト!エキセントリック」

行く年くる年。2016年最後のストーリーを飾るのは、旧「五奇人」の和気藹々とした日常風景。「スカウト!エキセントリック」です。

言わずと知れた夢ノ咲学院の伝説が、まさかまさかカフェでのんびり雑談に興じる物語。正に年の瀬に読むのに相応しい、ただただ心温まる会話が展開される内容となっていました。

ここまで「五奇人の末っ子として可愛がられていた」とされてきた逆先夏目ですが、実際に五奇人の中でどのような扱いを受けていたのかが見える内容はありませんでした。まずその夏目対奇人のやり取りが見られただけでも、物凄く価値のあるストーリーだったと言って良いでしょう。

全体的に見ても、五奇人は「素晴らしい友人たちである」と各々が言っている割に、現在の立場に準じた行動を取ることが多かった印象。彼らの友人関係は情報として存在しているのみで、実はどう仲良くしていたのかは完全にベールに包まれていたのです。

蓋を開けてみれば「何これかわいい」以外の感想を失ってしまうような平和な世界。普通の高校生のように楽しそうにはしゃぎ回る彼らの姿がそこにはありました。

彼らのような突出した才能の持ち主が揃うと、"友人関係"と言ってもどこか才能による繋がりを感じさせるものになりがちなもの。にも関わらず彼ら五奇人が見せてくれたのは、本当にただ仲の良さそうな友人同士の会話です。

個性と個性がぶつかり合う笑顔溢れるやり取りの中では、あの斎宮宗が超常識人ポジに座らせられてしまう異常事態が発生(記事中で「ノクターン」の感想を書いたことで、それがいかにおかしなことがより顕著に分かるようになっています)

そしてただひたすらに可愛がられ続ける夏目ちゃんは、全くもってまんざらでもないのがまた微笑ましい。

尊敬できる才能を持つ人たちが自分の周りに集まって、ただただ"普通の人間"として友人グループの1人として迎え入れてくれているわけです。そりゃあ魔法使いとて骨抜きにもなるでしょう。

こんなものを見せられたら、「エレメント」で夏目が"幸せ"を守るために全力で駆けずり回っていた気持ちが分かりまくってしまう。彼が守ろうとしていたのは"奇人"という才能あるアイドルではなく、ただただ共に笑い合えるこの時間と関係に過ぎなかったのですから。

そして末っ子の彼にとっての五奇人はそういう場所であってほしいと願ったからこそ、4人の先輩たちは彼を戦いに巻き込まないように全力で振る舞った。あまりにも美しく、あまりにも健気な少年たちの友情がそこにはありました。

もし出会い方が変わっていれば、天祥院英智もまたこの友情の一員としてただただ笑い合える時間に恵まれたのかもしれない。しかし英智が現実のように動かなければ、そもそもこの関係が生まれること自体なかったのかもしれない。

ただただ楽しげなやり取りが繰り広げられるストーリーにも、過去に見てきた彼らの足跡を辿ることで感じられる皮肉が存在します。

何が好で何が悪に転じるかは分からず、そこに残っている結果だけが全てな世の中で。改めてこの場で笑い合える五奇人の関係が残っていること。それは本当に、心から喜んであげるべきことなのではないでしょうか。

変わってしまった今でも

『ええ。過去があるからこそ今があるの、こうしてみんなで笑いあえる平和な時間がね』

そんな昔と同じような空気感で、同じように楽しい時間を謳歌できる彼らも、実際にはもう「五奇人」ではありません。

今なお語り継がれる伝説は「三奇人」となり、その3人でさえも昔とは大きく状況を違えました。零れ落ちた2人は各々が新たな意志を持ち、自分にとって価値あるフィールドを求め続けています。

変わらないものの中で、確かに変わっていたものもある。今と昔は違う時代で、それぞれが持っている気持ちも異なっている。

現に楽しそうにはしゃぎ回って斎宮宗の肩に寄り添って寝落ちしてしまった彼も、もう昔の庇護しなければならない少年ではなくなりました。

4人にとってはいつまでも可愛い末っ子で、彼が助けを求めれば世界だって敵に回しても良い。それほどまでに想いを寄せる逆先夏目は、当時の先輩たちに意趣返しをするように、彼らを巻き込まないように1人努力を続けてきていました。

そうやって成長して行く彼を見て、どこか嬉しそうな奇人たち。上限関係を取り払って、自分たちの"横"に並び立とうと奮闘する夏目の姿は、それはそれは眩しく魅力的なものだったでしょう。

けれどその夏目の放つ輝きに当てられた先輩たちは、逆にどんどんと彼の助けになってあげたいと思ってしまう。年長者とはそういうもの。年下が頑張れば頑張るほどに、愛おしく感じてしまう生き物です。

年下からすれば、なかなかどうして上手く行かない。優秀な先輩であり兄であり親を持った逆先夏目は、一瞬でも油断するとすぐにその人たちに手を差し伸べられてしまうのです。

そんなものはいらないと断っても、無理矢理にでもその手を取らせてくる。手を取るまでもなく、気付いたら勝手に担ぎ上げられている。それじゃいつまで経っても彼ら対等になることはできないと言うのに。

夏目自身が望んだ形を実現するには、まだまだ時間がかかるのでしょう。それでもこの1つ1つの他愛ない経験さえも糧にして、いつしか彼らと横1列に並び立つ才覚を会得する時が来るはずです。

その時が来るまで、逆先夏目は全力で目の前のことに立ち向かって行っても大丈夫。困った時は呼んでもないのに現れる。そんなお節介な先輩たちが、彼をいつもそばで見守っているのですから。

「たのしくみんなで『うたって』いれば、あっというまに『おしょうがつ』です。ゆくとしくるとし、ぷかぷか……♪」

年の瀬に見る、奇人と謳われた者たちの何のしがらみもない饗宴。失ってしまった過去への旅愁は見る者の心を満たし、次の年への希望を繋ぐ一幕となり得るものでした。

見えない絆は、変わってしまった今でも彼らの胸に残り続けています。

未来永劫、変わることはきっとない。そんな掛け替えのない友情の形が、そこにはありました。

「みんな、よいおとしを……♪」

おわりに

2016年の年末ストを2020年に書く。

4年分の時空の歪みが発生しておりますが、年の瀬に読むエピソードはいつの年の瀬に読んでもしみじみと心に沁み渡るものですね。どちらも友情をベースにした物語であり、共通項を感じながら執筆できたのも楽しかったです。

僕もこれらのストーリーを読みながら、今年の『あんスタ』との時間を振り返っておりました。2020年は3月から原作の感想執筆をはじめ、35記事を書き上げることができました。だいたい1週間~10日に1本のペースは維持してここまでやってくることができました。

しかし「まだ2016年の年末か~w」という気持ちもあるものです。今のペースだとだいたい1年かけて2年分の記事執筆となりそうで、『ズ!』の全ストーリーが書き終わるまでまだ年単位の時間がかかる模様。おいおい。

書くこと自体は続けられても、読んでくれる人がいなければ成立しないもの。やはり読む方にも体力が必要なのがこの連載だと思っています。アニメの記事を書いていた頃よりアクセスは徐々に落ちてきており、どれだけの人が最後までついてきてくれるのかは未知数です。そこまで続けられるかに不安がないと言えば嘘にはなります。

そんな中で、この記事のこの文章を読んで下さっている方々は、本当にご贔屓頂いている読者さんだなぁと思っています。本当にありがたいことです。今読んで下さっている方々のために、来年もより多くの人に読んでもらえる展開を目指して行こうと思います。

2020年もお世話になりました。
2021年に読んで頂いている方、今年もよろしくお願い致します。

ミリしらだった頃から考えれば、すごくたくさんのキャラの良いところをここまで知ってきたなと思います。まだまだ『あんスタ』の世界を皆さんと一緒に楽しんで行きますよ。お時間ある時にお付き合い頂けましたら幸いです。それではまた。

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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