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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 第18話 帰還した騎士王 同胞へ贈る愛のジャッジメント

2019年11月14日

今回活躍したキャラクター達

前半の物語を理解したところで、Knightsのメンバーについて1人1人感想を述べて行くコーナー。

今回は物語→キャラ→物語のサンドイッチ構成でお届けして参ります!お楽しみをば!

三毛縞斑

まぁ1人目はKnightsじゃないんだなこれが。

前回急に現れたお祭り男が急遽ライブで参戦。
ソロなのにユニットを名乗る夢ノ咲の異色存在「MaM」。ママではなくマム。上から読んでも下から読んでもMaMというのがポイントだと思っている。

蓮巳に「1人でユニットを名乗るなどありえない」と切り捨てられながらも、実は蓮巳に許可を受けて活動中という矛盾。しかも蓮巳には相当な借りがある様子な上に、英智にさえ一目置かれる個人性能の高さの持ち主でもある。なかなかの傑物であるのが分かります。

今回のメインキャラであるレオとも個人的な交友が深そうで、学院外でもやり取りを行える関係であることが16話のラストで開示されています。

他にもKnightsについて「古豪の復活だ」と言っていたにも関わらず、Knights以上に学院内での知名度が低い存在らしいのが気になります。彼自身が見た目と交友的に3年生であるのは間違いなさそうですが、観客やTrickstarには一切認知されいないなどから、活動期間の狭さが感じられる存在です。

と、ここまで憶測で語ってきたものの、彼について分かったことは今回も「ない」と断言できる程度の活躍と台詞。ただ、上手く謎だけは残して去っていく"にくい"キャラクター。その辺りが彼の持ち味なのだろうと感じます。

個人主義で個々の実力の高さを重んじてユニットとして活動しているKnightsのリーダーと、ソロ活動を重んじる彼の仲が良さそうな点には何か事情がありそう。注目して行きたいと思っています。

瀬名泉

意外と良い奴なのでは?

前述した通り、物語前半では司をカバーしつつアドリブ対応で難を乗り切ろうとするなど、実力の高さをしっかり見せてくれた瀬名泉。

後輩のミスを執拗に責めず、他人を責める後輩のみを注意するなど、冷静かつ大人な対応がアピールポイント。それだけでなく、後半ではレオの過去の行動に歴然と理解を示すなど、意外と物事の本質を見抜いて理解する能力に長けるのだと感じました。

総じて今回の彼は相変わらず口が悪い面はあったものの、人格者としての一面が強調された形になっており、Knightsの中にいる限りは、どちらかと言えば常識人寄りなのかもしれないと思わせられました。

ゆうくん絡みと今回を総合して考えると、恐らく瀬名は身内に対する情愛が凄まじく強いタイプではないかというのが所見です。

クレイジーサイコホモなのは仕方ないとしても、ゆうくんと彼は過去に何かがあった(と瀬名が勝手に思い込んでいる)のは間違いなく、そのことに対する裏切られた気持ちが情愛の強さ故に増幅されてしまっている状態です。

身内を全て自分のそばに置いておきたいという独占欲が情愛に直結しているのかと思いましたが、ゆうくんと同じく自分(達)から離れて行ったレオに対しては一定の理解を示していることを考えると、必ずしもその執着だけで動いているとも言えないようです。ゆうくんに対してのみはそれ...という感じ。余計気持ち悪いな。

何か明確な価値基準が存在しているのだろうとは想像しつつも、今回ではそこまで読み取ることはできませんでした。

初登場時から相変わらず味わい深いキャラなのに変わりはなく、今後の活躍に期待したいです。Knightsの瀬名泉を意識し出すと、1クール目の瀬名泉のキモさが余計クレイジーに見える。スルメのような存在。

鳴上嵐

比較的何もしていないのですが、何もしてないからこそ存在感があるとも言える。

そもそも美形オカマキャラというステータスの渋滞を起こしているキャラなので、台詞量や登場シーンが少なくても存在を忘れられないのが彼の強み。個性的な集団の中で無個性な行動を取る超個性キャラという謎の地位を確立している節があります。

転じてKnights全体の動きを活性化させることができる、本当の意味での潤滑油的存在。このアニメを通して見ると、彼がいるからKnightsの活動は回っていることが伝わってくるようになっていて、このユニットにとって無くてはならないキャラクターです。

ただあくまで潤滑油なのであって、引っ張って行ける力を持っているわけではない。だから彼がいれば活動は回せるものの、完璧な動きが可能というわけではない、というのが月永レオ不在のKnightsが抱えていた問題点のようにも思えました。

役回り上、地味だとか目立たないと言われてネタにされがちなポジションなのですが、それを色付けによって上手く乗り越えているなぁと感じます。「Knightsってあのオカマがいるとこか」くらいの認識でスタートして、それを超える超個性集団にハマって行く人もいるのではないかなと。

朔間凛月

朔間零の弟というズルい存在。
兄とは不仲っぽいですが、あまりにも素行と性質が兄に似通っている(と言うか兄以上に厄介)ので、兄弟の縁を感じざるを得ないと言ったところ。

留年し、学年より1つ年上であることから"おじいちゃん"を自称する彼。お前がおじいちゃんなら兄貴はどうなっちまうんだという感じではある。

留年していて2年生?だとすると18歳ということになりますが、そうなってくると兄である朔間零との年齢差が気になるところ。

双子は流石にないでしょうし、零の方も留学によって在留期間が他の生徒より長いと考えておけば良いでしょうか。1年に100年分の歴史が詰まっている『あんスタ』での実質4年生。一人称が吾輩になるほど老いてしまっても仕方がないわけか。

真緒との幼馴染設定も今回で発覚。
ということは朔間零と真緒も顔見知りだったのか…?考えてみると、朔間と真緒の接点はあまりなかった気がする…。

…と、これだと朔間零の話になってしまうので、ここで切り替えて行きましょう。

まずインパクトのあったあんずちゃんとの会話シーンから。俺達のあんずちゃんから血を要求しようとするも、本当の好物は炭酸ジュースというオチ。

サマーライブで零がトマトジュースらしきものを飲んで吸血鬼に徹していたのと対比して考えると、凛月の方には特にそういったこだわりはない様子。血の要求自体が、兄と親交が深い彼女に向けたジョークだった?とも取れますね。

Knightsでは作戦の凛月案…立案を任されるポジションにあるとのことで、通常ステージでは演出のプランニングを練る参謀的な立ち位置のキャラクターというところでしょうか。キレ者で指示出しが得意なところも、兄弟で通ずるところがあるようです。

全体的に力が抜けていて弱々しいシーンが多く、現在の印象はダウナー系。しかし後半では後輩の司に対して堂々として振る舞いを見せる、宣言通り英智と引き分けるなど、人間性も実力もまだまだ底が見えないキャラクターです。

登場時期や物語・演出的にどうしても兄と比較してしまうところが多くあり、少し彼への申し訳なさを感じます。そして「奇人の弟」として見られるジレンマは、作中でも彼の精神性に影響を及ぼしている要素なのは間違いないと考えます。

その世界観的な彼の立ち位置と受け手の感覚が同一化していることが、朔間凛月の魅力を知って行く上で重要なのではないかと思っています。

カッコいい時がすこぶるカッコよく見えるタイプのキャラクターですし、もっと色んな面を見てみたいと思わせてくれるキャラクターの1人です。

朱桜司

今回の主人公と言うべき新入生。

Knights復活の際、4人目の枠を埋めるために厳しい審査を勝ち抜いて加入した男の子。熱意と若さに満ち溢れた、向こう見ずな真面目さが魅力的なキャラクターです。

前半部分でも記述した通りまだまだ感情面が不完全で、自分を客観視ができていないところがあります。自身の信じるものが全てであり、それ故に自分の都合が良いように現実を捻じ曲げてしまうのです。

それは大きな欠点とも言えるものですが、彼自身が実直で極めて善良な人間であることから、その多くが"正しいこと"=正義として体現されるのがポイント。結果として先輩達から可愛がられているし、今まで誰からも褒められる人間として生きてきたはずです。

しかし実力主義の世界では、自らの力不足や精神性の未熟さを自己基準で捉えて解釈してしまうことは成長の妨げにしかなりません。さらに彼の強すぎる熱意は視野狭窄の原因にもなり、余計に人前に立つ者としての本質性を曇らせてしまいます。

最も大事なことは人前で完璧なパフォーマンスをして観客に感動を与えることなのに、彼はその人間性故にそれを「一生懸命頑張ることが大事」だと誤認してしまっているのです。

結果よりも精神に重きを置いてエンターテインメントを考えている。だから"ちゃんとしているように見えない"レオのような人間に、人一倍大きな苛立ちを覚えてしまうのだと思います。

言うなれば"意識高い系"と揶揄されてしまうような振る舞い。実力が伴っていないのに口だけは達者と言われても仕方がない。そんな弱さが彼にはありました。

けれど、それは決して悪いことではないのです。彼の年齢で持てる熱意や情熱、まっすぐな精神は間違いなく天性のもの。成長してから後発的な事由で獲得することはほぼできない輝きと言って良い。

そしてそのメンタリティこそが、無限大の伸びしろに繋がっていきます。技術と精神の未熟さは鍛錬でどうとでもできますが、持っていない輝きを後から手に入れることは難しい。ただの石はどんなに磨いてもダイヤにはならないのと同じです。

人を輝かせる要素は様々です。
人間的に優れていることが、必ずしも最良ではありません。ですが、ひたむきな人間でしか出せない輝きがあるのは確実で、司はそれを持っている人間です。

見たところKnightsは個人主義故に偏屈な人間の集まりで、個性に統一性が無くバラバラなユニット。そのKnightsの中で司が秘めた透き通るような善良性は、他のメンバーにはない輝きを放てる可能性を担保するものです。

それを見極められたからこそ、既存メンバーに認められて4人目としての加入が決まったのだと思っています。

先輩達が彼を悪意から守って優しく育てようとしているのは、司の持つ輝きの種を消してしまいたくないからでしょう。ですが、それではいつまで経っても一人前になれないかもしれません。

天才で結果主義者であるレオは、その内情を見抜いて内部粛清を敢行したはずです。Knightsの掲げる個人主義=実力主義の本質を司に理解させるには、どこかで試練を用意してあげなければなりませんから。「早い方が良い」というのが王様らしさなのかなと。

他者から愛されることを、自身の強さに変えられる才能を持つ少年。試練を乗り越えた先でKnightsの"光"となってくれるはずです。

月永レオ

うっちゅー☆
問題児だらけの『あんスタ』きっての問題児。色々なものがズレまくってるKnightsの王様。

天才肌でアーティスト系のキャラだと斎宮宗と被るのですが、斎宮が思考を積み重ねて緻密な芸術を創り上げるタイプなのに対し、レオは感性を信じて一気に創り上げるタイプでしょう。恐らくあまり仲良くないけどお互い認め合っていると予想。

その芸術性で様々な楽曲を生み出し続け、現在のKnightsも過去に彼が創った楽曲によってパフォーマンスの精度を維持しているという、いなくなって尚"ここに在り"の大天才。

人間としては、過去にKnightsを結成し学院内最大勢力の1つにまで召し上げたものの、他者からの理解を得られずにKnightsを壊しかける原因にもなってしまったと蓮巳の口から語られました。

とは言うものの、今回通してKnightsのメンバーはレオのことを悪く思っているようには見えませんでした。司は蓮巳の話を聞いて内部分裂だと受け取ってしまったようですが、実際は何か別の事情があっての止むを得ない休眠だったと考えられます。

彼は天才故に頭の回転が早すぎて自己完結してしまうきらいがあるように見えるので、大きな過ちを犯した際にもメンバーの言い分をあまり聞いていなかったのではないかと思います。瀬名が「こいつに文句を言っても無駄」と諦観していることも、1つの裏付けになるだろうと。

滅茶苦茶な言動と突飛な発想で他者を置いてきぼりにしてしまうからこその苦悩が彼にはあるでしょう。誰にも理解されない、自分の思考に付いてきてくれる人がいないことから生まれる孤独感は、何もないことよりも厳しい疎外感を生むこともあります。

例えば斎宮宗のように思考を積み重ねて物を創る人間は、理解されない理由を究明して対応することが可能です。言わばこのタイプは天に向かって高い塔を建てているようなもの。その塔の形を下々に合わせて作り替えることで理解者を増やすことができるのです(もちろん凡俗への知識と理解、本人の高い意識が必要)

逆にレオのような感性タイプは、初めから高いところにいるというイメージ。文字通り雲の上にいるようなもので、下々の存在との間を埋める手段を持っていません。そもそも昔の彼に"下"があったのかも分かりません。

幾ら天才でも「ないものを理解することはできない」のです。彼にとっては雲こそが地面。その下にもっと広大な世界があって他の人はそこに住んでいたなんて、よっぽどのことが起きない限り気付けないのは当たり前でしょう。

そしてそのような場合、この社会では何故か高いところにいる方が悪いことになります。低い位置にいる人間が多数派になるため、それに合わせられない方が悪いんだと処理されることが圧倒的に多い。レオもその憂き目に遭ったと推察されます。

だから彼はその事実をなかなか受け入れることができず、勝手に苦しんで勝手に痛めつけられて、勝手なことを言って勝手に去っていた「妙な奴」というレッテルを貼られてしまったのかなと想像しています。

しかも月永レオが不幸だったのは、こんな天才型の人間にも関わらず義理人情に厚い人間性を持ってしまっていることでしょう。自身の所属するユニットをKnightsなんて名前にするくらいですしね。

天才型だと人の気持ちが理解できない故に、人の気持ちを理解しようとしなくなる人が多いはず。ですが彼は人のことを考え仲間のことを考える、天賦の才を振るってエンターテイナーとして在ろうとしているのが分かります。

独り善がりで許されるほどの才能を持っていて、独り善がりでいることを是としない。誰かのために生きることを選択しようとする、そんな人間性が見て取れます。間違いなく偏屈な人間なのに、内面がまっすぐすぎるんですよね。

他者を切り捨てれば幾らでも楽な生き方が選べるのに、あえてそれを尊重して自分を傷付ける道を歩いてしまう。その生き様があまりにも歪んでいて美しい。

存在の軸が"善"に依っている人物で、そういう意味では司と少し似ていると思います。3人がレオの穴を埋めるのに司を選びたくなったのも分かる気がします。人間としては全然似ていないですが、根本のメンタリティが近いのです。

総じてKnightsのメンバーはレオを理解している、もしくは理解しようと全力で努力していると思います。それは彼本人が思っているよりもずっと強い想いのはずです。

そんなKnightsの想いが選んだ朱桜司と月永レオがぶつかり合う"ジャッジメント"。この対決が彼らを再び結ぶ架け橋となっていくでしょう。

これらを踏まえて、物語の後半戦。
彼らの繰り広げるデュエルを見て行きましょう。

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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