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QuizKnockの可能性と魅力 万人に「学ぶことの楽しさ」を伝える独自のエンタメ構造

2020年2月24日

 

最近QuizKnock(クイズノック)の動画にハマっています。

QuizKnockは東大生を中心に結成された知識集団で、公式webメディアの運営他、クイズ企画を中心としたYouTuber(総再生数6億以上)としても活動中の団体。2019年4月からは法人化もされ、メンバーのテレビ出演なども増えています。

今回取り上げるのはそのYouTuberとしての活動部分。元々僕はYouTuberの動画を見る方ではなかったのですが、テレビ出演で彼らの存在を知って興味を持ち、今では毎日のように動画を視聴するほど魅力に取りつかれてしまいました。

どれほど見ているかと言うと、気付くとうわ言のように「はいどうもQuizKnock編集長(※現在は点数王)の伊沢です」のモノマネの練習を始めてしまう(何の意味もない)ほど、と言うと同じファンの方には感じ取って頂けるのではないかと思っています。

このQuizKnock、未知の状態だと「東大生の高学歴自慢なのではないか」というイメージがどうしてもつきまとってしまうと思うのですが、実際は全くそんなことはありません。

むしろ「学歴や知識にこんな使い方があるのか」と気付かされるようなエンタメ動画に仕上がっており、僕はその点が非常に魅力的だと思っています。

特にYouTuberのメインファン層である現在の10代~20代の学生にとって、QuizKnockの存在は1つの救いになっているとさえ考えています。

今回の記事では30歳男性という少し大人の視点から、彼らQuizKnockの持つ可能性と魅力について紐解いて行きます。

競い合いに終始しないエンタメクイズ動画

QuizKnockは知識を最大の武器にエンターテインメントしている。

これが1つの前提です。
元来のエンタメでは発想力が重要であり、知識はそれを補完するものでしかないという構造が一般的。より多くの人に理解され受け入れてもらう"楽しさ"を体現するには、難しい理論や理屈っぽい表現は不要であるとされてきました。

最近では謎解き系などの知的エンタメがより広く受け入れられるようになりましたが、クイズのような知識ベースのエンタメは「誰にでも分かりやすいレベルに抑えられたもの」か「常人にはついて行けないほどの超人的頭脳を眺める」かに大きく二分化されているように感じます。

QuizKnockがこれらの魅力と一線を画しているのは、超人的頭脳を駆使して誰が見ても楽しめるエンタメを生み出しているという点でしょう。

彼らの動画は知識に依存した内容であるにも関わらず、知識を持たない人でもしっかりと楽しめるものがほとんどです。知識を振りかざすのではなく、知識を上手に利用して全く新しいエンタメを体現しているのです。

名称の通り、彼らが生み出すのは「クイズ(特に早押し)」を基本スタンスに敷いた動画。早押しクイズはその形式上、どうしても"競い合う"ことが最優先のコンテンツとなります。これはテレビで見られるクイズ番組のほぼ全てが"知識の戦い"であることからも明らかです。

結果としてクイズ番組などは「知識自慢」と揶揄されてしまうことも多く、ブームが到来している現在でも「インテリの遊びであるという偏見」が無くなったわけではありません。

ところがQuizKnockは、超人的頭脳(知識量)を利用した様々な形式のクイズに挑戦。「問題文が母音のみで読まれる」「問題文の漢字が表示されないクイズ」「存在しない漢字の読みを答えさせる」「ウォータースライダーの中でセンター試験を解く」など、字面だけ見ると全く意味が分からないような動画が無数に存在しています。

ただの知識比べではない頭の回転力が問われるクイズを創造し、時には出題者からの理不尽な罠に慌てふためきながらも、卓越された知識量で攻略していく。見方次第で超人的所業とも馬鹿馬鹿しい遊びとも取れる、そんな他では見られない知的エンターテインメントを世に送り出しています。

これは彼らが優れた頭脳を持っているから可能と言うよりは、Youtubeという10分程度の動画をコンスタントに上げる土壌だから成立しているもので、1時間使って1つの番組を作り上げる必要のあるテレビなどでは難しい形式です。

正に現代だからこそ可能になった新しいクイズの在り方であり、その先駆者となったことがQuizKnockの功績かつ勝因であると言えるでしょう。

知識を持つ者しか体現できない面白さ

では「QuizKnockが他のYouTuberと空気感の違う異質なインテリ存在であるか」と言われると全くそんなことはありません。やっていることこそ頭の良い内容ではありますが、そのノリは小さなことでも大笑いする、和気あいあいとした団体ネット配信者のそれその物です(※インテリ系YouTuberはQuizKnock以外にもいる)

知識を持っていても決して驕らず斜に構えず、YouTubeという土俵上でできるベストなパフォーマンスで動画を盛り上げる。それができているからこそ、QuizKnockはネットという場で大きな人気を博しているのです。

そのノリをしっかりと維持しているにも関わらず、中身は"絶対に知識を持っている者にしかできない内容"というのが、彼らの持つ絶対的唯一性だと断言できます。

仮にQuizKnockと同じことをしたいと考え、彼らの後追い動画を撮ろうとしても一般レベルでは絶対にできません。彼らの動画は「解答者が日本最高峰の頭脳集団である」ということを信頼して作られた企画ばかりだからです。

「俺達だったらこの企画でも成立するだろう」という、確固たる自信があるからこそ企画が立ち上がり成立する。普通なら誰も答えられなくなるような環境下でのクイズでさえ、QuizKnockであればできる。その限界ギリギリのレベルで練られた挑戦的な魅力に溢れるものばかりです。

それらに最初は戸惑いながらも、短時間であっさりと順応して解答して行くメンバーの姿は圧巻の一言です。「これ、意外とイケるなw」という発言を何度聞いたか分からないし普通はイケないしイケるとしてもその早さでは無理。それなりに彼らでも無理ゲーすぎるのも出てきますが、それはそれで「これは流石に無理か」で納得させられてしまうところがある。

「知識を持っていると、こんなエンタメを生み出すことができるのか」というのが、数々のエンタメを追いかけ分析してきた僕の率直な感想です。僕は元々クイズ番組が好きでよく見ているし、QuizKnockのこともテレビで知ったのですが、彼らの動画には純粋な衝撃を受けました。

本当に今まで見たことがない画期的なエンタメシステムを実現していて、もうこれは今後も彼らの独壇場になるだろうと思います。

楽しいから始まる学び

この記事の序説で「10代~20代の学生にとって、QuizKnockの存在は1つの救いになっている」と書きました。最後に、この点について解説します。

最初に少し僕の身の上話をさせてください。
僕は中学時代、周りに言われるがままに机に張り付いているガリ勉で、その甲斐あってそこそこ良い学校に進学しました。しかし高校に上がってからは全く勉強をしなくなり、残念ながら高校では退学寸前レベルまで落ちこぼれてしまいました。

と言うのも元々、心の底から勉強が嫌いな少年だったのです。学校の勉強とは苦痛なものでしかなく、楽しいことだけをして過ごしたいとばかり考えていました(今でもそう思っていますが)

ですから「知識を付けること=勉強=楽しくないこと」の図式が完全に完成してしまっており、高校を機に知識欲というものを失いました。頭を使うのは好きだったのでこうして文章を書ける力は身に付いたのですが、とにかく知識を入れることを毛嫌いする形で10代の後半を過ごすことに。

当時「学ぶことは楽しいことだ」という弁もたくさん聞きましたが、その"楽しい"は学校の先生など周りの大人から聞く「勉強しなさい」の言い換えに過ぎなかった。それがどう楽しいかを教えてくれる人達は誰もいなかったのです。

その「学ぶことは楽しいことだ」を見える(分かる)形で僕達に教えてくれる存在になり得るもの、それがQuizKnock(クイズノック)です。

彼らの動画はしっかりと勉強して身に付けた知識があって初めて面白くなる・魅力を感じられるものばかりで、「知識のみを武器にエンターテインメントしている」数少ない事例です。

「学ぶことは楽しいことだ」と教えてくれる

自分の大好きなエンタメを楽しんでいる時に「自分も創る側に立ってみたい」と思ったことはありませんか?楽しんでいれば、そう思うのは極めて自然なこと。QuizKnockのファンにも、そう思う人達はいるでしょう。

しかしQuizKnockと全く同じことをしたければ、知識を持っていることは絶対条件となります。しっかりと学び、最高学府並みの知識・学力を身に付け、それを咄嗟に使えるレベルまで自分を磨いて行かなければなりません。

つまりQuizKnockに憧れ、彼らのようなエンターテイナーになろうとすることは、しっかりと勉学に励むこととイコールになるのです。

物凄い茨の道であっても、頑張れば到達できる可能性は十分にある。頑張るべきことは明確である。それが勉強という分野の良いところでもあります。

僕の学生時代は、学校の勉強その物がエンタメに結び付くという発想をくれる人や物は、本当に限られていたと思います。少なくとも当時の僕は出会うことができませんでした。

勉強とは自分の目標のために嫌々頑張るか放棄してしまうべきもので、"楽しんでいる"のは一部の特別な人間だけ。そういう人だけが東大や京大に入れるというのが"一般人の思考"だと思います。

QuizKnockの動画はその一般人にさえ「学ぶことは楽しいことだ」を感じさせてくれるものですし、彼らを目標に勉強を楽しめるようになる人もたくさんいるのではないかと思います。今後「彼らのおかげで良い大学に入れました」という人もどんどん増えて行くでしょう。

彼らはビジョンの1つとして「楽しいから始まる学び」を掲げています。ここからも学びから始まる楽しみではなく、「楽しみの中に学びを見出すこと」を最終目的に活動していることが分かります。

近年では若者の学力低下が叫ばれることも多い日本ですが、その理由はエンターテインメントの発展と無関係ではありません。だとしたら、その状況を変えるのもまた新しいエンターテインメントなのではないでしょうか。

QuizKnockにはその新風となれる可能性と魅力が、まだまだ眠っていると思います。今後とも1人のファンとして、彼らの活躍に期待します。

おわりに

QuizKnockの可能性と魅力についてしたためて参りました。

「勉強は嫌い、クイズノックは好き」という方もいると思います。もしこの記事を今正にそんな学生の方が読んでいるとしたら、この内容を考慮してQuizKnockの動画を見てみると、また新しい楽しみ(学び)に出会えるかもしれません。

…ただ、その経験を踏まえて「クイズノックから学びなさい」と強制するように言うと、せっかくの彼らの魅力が半減してしまいます。彼らの動画はあくまでも「楽しいから始まる学び」。楽しむことが最初に来てこそ輝きます。そちらの方を是非大切に。

僕なんかはもう良い大人なので「今の子は良いなぁ、俺も若い頃にQuizKnockに出会いたかったなぁ」と思いながら動画を見ることもあるのですが、それは僕が大人になって「やっぱり知識って大事だな」と思うようになったからこそ素晴らしいと思えるところもあるでしょう(完全にジジイ)

知識を扱ったエンタメだからこそ、様々な楽しみ方がある。彼らに近付きたいと思わなくても「すげぇ」と言っているだけで学びはありますし、「○○さんカッコイイ!可愛い!好き!」という楽しみ方もまた一興。かく言う僕もテレビのクイズ王 伊沢拓司とやかましいYouTuber 伊沢拓司を交互に見て「うーん味わい深い」と楽しんでいます。

1人の大人として彼らの可能性を考えた時、このような見方もある…と思ってもらえると嬉しいです。今後とも良いQuizKnockライフを。

最後に僕の(今見ている中で)1番お気に入りの動画を張っておきましょう。完全にバケモン。やらせっぽく見える出来すぎた展開も「伊沢拓司ならガチ」と思わせる説得力。そんな魅力がQuizKnockにはありますよ。

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  • この記事を書いた人

はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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