「メインストーリー 一部」を終え、いよいよイベントシナリオへ。ここからは僕にとって、初めて知ることも多いシナリオへと入って行きます。
その1回目を飾るシナリオは「ジャッジ!白と黒のデュエル」です。
TrickstarとKnightsが中心に活躍するこのシナリオ。アニメではKnightsの活躍は主に「ジャッジメント」の1話に収められていたため、彼らとTrickstarとのやり取りを見るのも実質今回が初めて。
またリーダーである月永レオが不在のKnightsの活動を見るのも初めてと、いきなり初めて尽くしのチョイスとなりました。
その感想をしたためさせて頂きます。よろしければお付き合いくださいませ。
アニメから入ったことによる感じ方の違い
「白と黒のデュエル」はKnightsが伝統的に執り行っていたドリフェス"デュエル"を中心に取り扱ったシナリオです。
デュエルの存在はアニメ版「ジャッジメント」でも明らかにされており、情報としては概ね理解している状態でのスタート。その分、話の理解はスムーズだったと思います。
ですが、デュエルが久しく行われていない「黴の生えた催し」であることなど、細部には今回で補完された部分も存在します。Knightsのメンバーはデュエルのことを黒歴史のように扱いたい素振りを見せており、これはレオの不在や過去に関わってくることなのだろうと感じています。
そこに割って入る新入りの朱桜司くん。
今回はデュエルを通じて見える彼の若さ故の生真面目さ、その裏に潜む短絡さがフィーチャーされた物語でした。アニメでも感じ取ることができた部分であり、少しだけその先を知っている身でもあるので、この点は微笑ましく読み進めることができました。
原作先行で公開順に触れる場合、このシナリオはレオの存在が隠されていること・「一部」での瀬名の奇行など、Knightsはチグハグであるイメージが強い状態で直面するものです。この時点でのKnightsは、割とどうしようもない連中であるように見える描き方を為されています。
つまり「白と黒のデュエル」は、朱桜司がダウナーなKnightsの先輩をその若さで突き動かし、前向きに行動させる物語。そういったイメージに落ち着くはずで、基本的には司の"光"の部分が強く伝わるシナリオとして描かれていると思います。
ですので司について「若いな~」という印象が先に出てしまうことが、アニメを鑑賞してから原作をプレイしていることによる印象の変化ではないかと思います。
僕の場合、アニメ版「ジャッジメント」に至る物語としてこのエピソードを読んでしまうので、司の青さや自己完結の短絡さの方が強調されて飛び込んでくるように感じます。一見ハッピーなようで、未解決のことも山積み。そのような感じ方が強い物語となりました。
あんずとアイドルの交流
今回はTrickstarとKnightsの関係性の構築が見られる内容でしたが、まずアニメからの人間として特筆しておくべきは、転校生あんず(※以降この記事群では「あんず」と表記します)とKnightsの関わりが描かれたことでしょう。
アニメのあんずはTrickstar以外との交流の描写が最低限にカットされており、(「Trickstar専属のプロデューサーではない」と触れ込みはありつつも)展開上はほぼ彼らの専属プロデューサーでした。
原作では他のアイドルとの交流もしっかりと描かれます。これは作品感を考えれば当たり前のことなのですが、アニメ→原作ではあんずとアイドルの交流の全てが新鮮に映るということは、皆さんに是非知っておいてもらいたいポイントです。
アニメで『ズ!』の時点の全キャラを表面的に理解している身でありながら、あんずとアイドルの交流部分には大きな抜けがある。そこへの意識は僕の感想群を楽しむ上できっと大きな意味を持つでしょう。
今回は司が早速あんずと積極的にコミュニケーションを取り、Knightsのプロデュースを依頼するという大胆な行動に打って出てくれます。こんな子に屈託のない笑顔で「お姉さま」と語りかけられたら男でもドキドキしちゃうわ。
瀬名に(何故か)認められ、鳴上と仲良くし、凛月にはダイナミックセクハラを決められても動じない原作版あんずさん(既に姫宮も懐柔していた)原作はアニメよりも色々な意味で突き抜けた描写が多いので、彼女に降りかかる災難(?)もレベルが高いなぁと思わせられます。
活躍したキャラクター達
では活躍したキャラクターの所感を綴って行きましょう。
今回のエピソードでは主にKnightsの面々をフィーチャー。1人ずつアニメと比較しながら読解致します。
朱桜司
「ジャッジメント」前、まだまだKnightsに強く大きな幻想を抱いている頃の司くん。
今回のシナリオは彼のその前向きさが純粋に良い結果を生むという内容で、これが後にある「王の帰還」の伏線になっていると考えられます。
身勝手に思い付きで行動してしまうその姿からは「自分の良いと思ったことは良い」と決め付けてしまう危うさが感じられます。あまりにも純粋で手が付けられない。そんなところが長所であり短所です。
この時点では「まぁ仕方ない」「思うようにさせてやろう」「やれやれ」と周りが彼を許容している状態で、それが彼が前向きに突き進める大きな理由となっています。
それを許される人間性を持っていることが既に素晴らしいことなのですが、人間関係とは前向きさばかりで上手く行くわけでもないのが現実。それを一連の物語を通じて彼は知って行くのだろうと思います。
アニメ版では見られなかった点ですが、とにかくナチュラルに口が悪い。自分が口が悪いことに気付いていない口が悪い少年で、逆に育ちの良さを感じます。「パンが無ければお菓子を食べれば良いのでは?」とか平然と言い出しそうなゾワゾワ感がある。そういうところも含めて微笑ましいキャラなのですが。
鳴上嵐
思ってたより分かりやすいオカマ。
身も蓋もないことを言うと、序盤のシナリオではそういう扱いにする他ないというところでしょう。
個人的な見解ですが、展開が長期化する作品で「序盤と中盤以降でキャラの扱いや性格が変化して行き、場合によっては完全に別人になる」ことは避けようのない現実なのであまり気にしていません。ある程度整合性が取れていればより問題ありません。
恐らくアニメの彼らは数年間かけて完成したキャラクターをベースに映像化されているので、序盤のシナリオでも調整がかけられているのだと思いました。
「スバルからち~ちゃん先輩と同じにおいを感じる、苦手なタイプだ」と言われていますが、これはアニメではあまり感じなかった部分です。今後読み進めて行くとそういうところも見えてくるのか、はたまた序盤特有のものなのかも気になるところ。あと思っていたより守沢千秋も嫌われているな。
鳴上はアニメでは理解度2割くらいだと思っているキャラなので、まだあまり言うことがありませんね。その分原作で楽しめる部分が多いキャラと言い換えられます。癖の強いKnightsのメンバーですし、彼も色々なものを抱えているのでしょう。期待しています。
瀬名泉
気持ち悪い!
半分は彼とゆうくんのお話だったとは言え、逆にあまり言うことがない。
人間としては遊木真と一緒にいるとロクでもないのはもちろん、アイドルとしてもKnightsの活動について(ゆうくんにご執心ながらも)割り切って合理的な判断をする気概を見せてくれるなど、概ね今までのイメージ通りの動きを見せてくれました。
中でもあんずの才能を認めて正当な評価を下し、原作ではある意味最も警戒すべき存在さえ感情的に唾棄しなかったのが今回の見所。瀬名は自分の感情をフルオープンにはしているものの、物事の判断を感情で行わないのが良いところだなと思います。
最初に引いた星5キャラが彼だったこともあって、瀬名はよくミニイベントもこなします。その結果、瀬名泉は思っていることを全て口にしているので、「常に言われた通りにするのが正解」という極めて珍しいキャラクターだと気付きました。
アニメ文化では彼のような言動のキャラはどうしても"ツンデレ"の枠に括りたくなりますし、「とか言っちゃって本当は!」と返したくなるものですが、彼の場合その対応は悪手。
本当に口に出していることが本心で尚且つ皮肉屋といったキャラは、相当珍しい気がします。現実にいたら友達少ないけど女には困らないタイプだ。こういう人に惚れてはいけません。
そういうところが彼にハマってしまう人が多い理由だろうなと思いますし、ひいては『あんスタ』全体の"深み"その物なんだろうと感じています。個人的にもやはり味わい深いキャラだなと思っているので、より注目して行きたいところです。
朔間凛月
思ってたより分かりやすい吸血鬼。
身も蓋もないことを言うと以下は略そう。
関係性としてはアニメで分かっていた範囲に留まっていますが、真緒が「りっちゃん」と呼んでいたことはアニメでは出ていなかったような気がします。
過激な描写が大きく削減されていたアニメ版と違い、かなり大胆なセクハラを決めるリッツ。悪気がない(ように見えてしまう)ため、どこから本気で注意してどこまで許してあげるべきなのか分からない。そんな乙女心をもてあそぶ悪い男。
アニメでは主に朔間と真緒の関係性描写に終始していたため、早速あんずとなかなかなやり取りを見せてくれて楽しめました。
彼はそんなミステリアスなところだけでなく、「ジャッジメント」で見せてくれたカッコイイところや「ハロウィンパーティー」で見られた複雑性を抱えるキャラなので、アニメの情報を踏まえながら発言の1つ1つを見てあげたいなと思っています。
おわりに
「ジャッジ!白と黒のデュエル」の感想を書いて参りました。
アニメの内容を知っているからこそ見える部分、初めて知って「なるほど」と思わせられる部分などバランスよく感じさせてくれるエピソードで、イベントシナリオの初回としては分かりやすい記事が書けるもので良かったなと思っています。
そしてこれが公開当初は何も知らない人達に向けて書かれたシナリオであることを踏まえると、また違った味わいも出てくるでしょう。その辺りからこの感想の独自性を感じてもらえたら嬉しいです。
原作版の感想執筆はシナリオの内容を書き込みすぎると問題があると思いますので、今後も活躍したキャラクターの心情読解メインの執筆となります。
当然ながら内容を知っている人向けの記事群であり、「この感想を読むと内容が分かってしまう」といったことがないバランスを考えて執筆します。アニメと比較するとあっさりめかもしれませんが、より読みやすいものを心掛けて行きますので、その点ご留意頂けると幸いです。
何より総量が凄まじいので、1つに集中して書くより中規模の記事を複数書いた方が良いでしょう。その辺のバランスも考慮して書いて行こうと思います。
それでは今回はこの辺りで。次回の記事でお会い致しましょう。
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