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『東大王vsQuizKnock』18,000字レポート 知力の頂上決戦 最高の戦いが行き着く先

2020年6月20日

一進一退の「12アンサーズ」

ここからは週をまたいでの後半戦。

4thステージはお馴染「12アンサーズ」。
12問の難問を順番に答えて行き、誤答で解答権が交代。解答数に関わらず、最後の問題を正解したチームの勝利になるピーキーなステージです。

追いかける形でスタートした東大王チームですが、ここで鈴木がジャンケンに負けて痛恨のQuizKnockスタートに。普段の芸能人チームであれば一度も誤答しないことはまずありませんが、今回の相手は12問連続正解で勝負を決めかねない実力者。絶対先攻が欲しい場面でした。

その不安は見事に的中。
こうちゃんがいきなり難問のはずの「ノイシュヴァンシュタイン城」(ドイツの城/一般正解率18%)を「全員分かっている問題」としてサラリと正解。山里に「やべぇチーム」と称されたのを皮切りに、QuizKnockチームは全く顔に陰りを見せずに連続解答。

そのまま12問を一度の誤答なくストレート解答し、1回戦を圧倒的な知識力で制します。

これには鈴木も笑うしかないと言った雰囲気で「ジャンケンに勝つところからですね~」と一言。実際、ジャンケンに勝っていれば逆ストレートor解答者が乱れることによる誤答もあり得たわけで、このゲームにおけるジャンケンの重要性を感じさせます。

このステージ内でも追いかける形となった東大王チーム。見ているだけで終わってしまった1回戦から「絶対に解答権を渡してはならない」という強い思いが募っているように感じます。

しかしここまで幾度となくこのクイズに挑んできた東大王チーム。彼らもまた、やられるばかりではありません。

候補生の岡本沙紀による「嚔(くしゃみ)」(難読漢字/一般正解率11%)を始まりに一切の迷いのない誤答を繰り返し、終盤では難問の「楠木正成像」(皇居外苑の像/一般正解率8%)を砂川が見事に解答。比較的難易度の低い2問を残す形で10問連続正解を果たします。

そのままジャスコ林が11問目を解答。残った1問「五重奏のこと」を鈴木が不安気に「クインテット…?」と解答するも、見事に正解。

2回戦は東大王チームがストレートで勝負を決めました。

クインテットは一般正解率34%とかなり高めかつ、音楽系が得意な鈴木にとってはあまりにも"簡単すぎる"問題。外せないプレッシャーから、慎重になりすぎて迷いが出てしまったとのこと。

圧倒的優位な立場からやり返されたQuizKnockチーム大将 伊沢は悔しさを滲ませながらも「これくらいやってもらわないと困ります」と余裕の対応。次ステージへの闘志を高めて行きます。

4thステージは2回戦で終了。
1勝1敗でステージ結果はドローということに。

QuizKnockチーム優勢の状態で、最後の5thステージへと移ります。

再戦の意味を 「難読漢字オセロ2」

5thステージは再び「難読漢字オセロ」。
先の2ndステージでは東大王チームの完勝に終わっています。

オセロでは東大王チームが優れていると明らかになったことが、再戦についてどのような意味を持つのか。そこに焦点が当たる一戦です。

しかし今回5thステージの「難読オセロ」は、2ndステージとは全くわけが違うものでした。「魚介類の名前」というテーマで用意された28マスは、先ほどとは比べ物にならないほど難易度の高い内容だったのです。

一般的な知識の範囲では読めるものがほとんど存在しない。一般視聴者もそれだけで、難易度の高さを実感できたのではないでしょうか。そしてその難しさは、歴戦の猛者たる解答者にも牙を剥きます。

2ndステージから引続き、ジャンケンに負けたQuizKnockチームが先攻(※後攻の方が圧倒的に有利らしい)トップバッターとなったこうちゃんが「鯊」を「シイラ」と誤答(※正解は「ハゼ」)いきなり脱落してしまったのです。

2ndステージは終盤まで一切の脱落者が出なかったことを考えれば、これがいかに恐るべき事態が分かります。正に波乱の幕開けです。

「読めないのは⑦と…㉛が全然…」

QuizKnockの漢字王 山本も不明な四隅を除いたマスの中で2つを読むことができないとのこと。逆に言えば、彼は2マスを除いては全て正解できるということ。そしてQuizKnockのメンバーには「山本が分からなければ相手も分からないだろう」という絶大な信頼があります。

現に山本が読めないと言った⑦「魸」㉛「鎗柔魚」は、東大王チーム全員が読むことができません。しかし、東大王チームが"オセロで勝つ"には⑦を取らなければならない。QuizKnockチームはそのような状況に序盤から東大王チームを追い込みました。

⑦を避けて勝ち筋を探るが、⑦を避け続けることはできない。その試行錯誤を繰り返しているうちに、東大王チームは候補生の紀野紗良を除いた3人を失ってしまいます。

角を4つ残した状態で、件の⑦と㉛も残っている。この状態からたった独りで漢字を読み切るか、3人を残したままのQuizKnockチームの全滅を狙わなければならない。困難を極める内容です。

勝利へのこだわり方

「――作戦通り」

ボソりと発した伊沢拓司の一言が刺さります。
彼は2ndステージでの結果と今回の難易度を受けて、オセロで勝つことよりも「難読漢字を相手に押し付けること」を選んでいました。一方の東大王チームは、2ndステージの完勝からオセロでの勝利にこだわらざるを得ませんでした。

勝利と敗北によって生まれてしまった経験の差が判断の違いとなって、最終的な彼らの戦略に影響を与えました。それがこの5thステージの明暗を分けることとなったのでしょう。

その後、紀野は最初の角となる「青串魚(サンマ)」を見事に正解。その成果によって、あと3マス読むことができれば⑦と㉛をQuizKnockチームに押し付ける道筋が生まれました。そこでの全滅を光明とし、候補生 紀野紗良の挑戦が始まりました。

「頑張って。紀野ちゃんに全部任せてます」

大将であり先輩でもある鈴木光から最高のエールを受け取って臨んだ④「銀魚」。彼女はそれを「アユ」と答えました。

しかしその結果はまさかの誤答(※正解は「シラウオ」)。
光に辿り着くことはできないまま、東大王チームの挑戦はここで幕を閉じました。

5thステージはQuizKnockチームの知識と戦略の勝利。
2ndステージとは異なった結果がそこに残りました。

問題となった⑦「魸」は、控えに回っていた候補生の伊藤七海のみが「ナマズ」と正解を解答。㉛「鎗柔魚」は、ジャスコ林が字面からの想像で「ヤリイカ」と答えて正解。形が変われば東大王チームにも勝ち筋があっただけに、彼らにとっては惜しい戦いとなりました。

「漢字が難しくて私たちが対応し切れなかったんですけど、その中でも紀野ちゃんがもの凄く最後まで頑張って読んでくれて、頼りになりました」

それでも何によりも先に、最後に責任を果たし切れなかった後輩へのフォローを忘れない大将 鈴木光。その言葉があっただけで、きっと彼女はまた一歩前へと成長できたと思います。負けたけど得るものはあった。言葉通りの意味がそこにはあったはずです。

「だからこれは負けじゃないですね。2勝ですね」
「2勝!?いつもより多く勝ってるじゃないですか!」

MCヒロミの投げやりな言葉に、真面目に食ってかかる負けず嫌いの伊沢拓司。今回のヒロミは東大王チームが遅れを取っているからか、どことなく不満そうなシーンが目立ちます。彼の親心のようなものを感じる一幕でもありますね。

全てのステージを終え、結果はQuizKnockチームが3勝1敗1分と大きく差をつける形に。敗北はオセロ勝負のみと、やはり圧倒的な知識力を見せつけてくれました。

残しはFinalステージのみ。
いよいよ満を持して、知力の総力戦が幕を開きます。

知力の頂上決戦「全員一斉早押しバトル」

「全員一斉早押しバトル」は、8名参加の早押しクイズ。最も早くボタンを押した者が解答権を得るスタイルで、ポイントはチーム合算で競われます。

先に10ポイントを先取した方が勝利となりますが、過去5ステージの勝利数がそのまま初期ポイントに加算され、1対3の状態からバトルがスタートします。

東大王チームは実質2点のビハインドを背負った状態での戦いに。早押しクイズは押しの天才である伊沢拓司を筆頭に、QuizKnock全員にとっても専門分野です。その彼らから2点多く奪うのは相当に厳しいものがあります。

「ここには飢えた狼たちがいますからね。ガンガン押していきます」

メンバーの実力を信頼した伊沢からの言葉に、発破をかけられて意気軒高のQuizKnockチーム(ふくらPだけは一瞬「何言ってんだこいつ」という顔で伊沢を見ながら「ハハッ…」と笑ったのが印象的)

しかし東大王チームにとってもここは負けられない戦い。通常の早押しクイズならいざ知らず『東大王』内の早押しであれば、豊富な経験を活かした戦い方ができるはず。歴戦の猛者たる彼らの意地を見せてほしいところです!

『東大王』が積み重ねた力

戦いの火蓋を落とした1問目はひらめき問題。
これをわずか2秒程度で射止めたのはジャスコ林!

『東大王』らしい出題をまずは東大王チームがしっかりと確保。
そう、『東大王』の早押しクイズは読み上げによる形式ではなく、画像や映像を見て答える問題ばかり。知識ではなく発想やひらめきで解答可能なものも数多あります。

一般的な読み上げクイズなら毎日のように切磋琢磨しているQuizKnockチームに分があったでしょうが、今日の戦いの場はあくまでも『東大王』。彼らにとってアウェイには変わりないのです。

ですがQuizKnockチームも対策は織り込み済み。
1問目は遅れを取ったものの、続く2問目のひらめき画像問題はふくらPが「税理士」と高速解答!

この問題は数あるひらめき問題の中でも取り分け難易度が高いもので、答えを見ても意味が分からなかった方も多いのではないでしょうか。鈴木光でさえ思わず「あー…」と感嘆の声を漏らしてしまうほどの問題でした。それをわずか数秒で押さえた辺り、さすがは天才集団QuizKnockが誇るひらめきの天才と言わざるを得ません。

続く3問目もひらめき問題。
こちらも漢字だけをヒントに答えを連想する超難問。

これを候補生の伊藤七海が颯爽と決めるファインプレー。正解は「山手線の駅の開業順」とトリッキーなものながら、東大王の傾向を読み取った超速解答を披露。これにはQuizKnockチームも驚きと賞賛を隠せないようでした。

続く4問目のひらめき、5問目の暗記問題をQuizKnockチームの山本・伊沢が連続解答。3対6と東大王チームを大きく引き離します。

これ以上点差が開くと精神的な重圧が何倍にもなってしまう。そんな大事な局面で迎えた6問目を押さえたのは、東大王チーム大将の鈴木光!

得意の絵画問題を開幕でフォーカスされた部分のみをヒントに、「オーヴェルの教会(ゴッホ)」と超高速解答で沈めます。タッチのみでゴッホの作品だと連想し、答えに行き着いたようです。

まさか正解すると思っていなかったのか、QuizKnockチームも唖然。

こうちゃんは「あんなの分かるわけないじゃんと思って…!」とテンション高めに驚嘆を露わにしますが、対するヒロミは「これが東大王ってやつなんですけど笑」と満足げ。

鈴木は競技クイズ未経験の状態から『東大王』にてスキルを磨き続けてきた叩き上げの逸材。番組内で頻出される祭りや絵画・音楽については、他のメンバーよりも突出した得意分野として知識を磨き上げています。

特に彼女は芸術的な才能にも優れることから、この手の問題は大得意。正に『東大王』ホームの地の利を活かし切った解答で、決して急場の"対策"だけでは真似できない積み重ねを感じさせてくれました。

引き離されて追いついて

点差を開幕同等の2点ビハインドに戻した東大王チームは、続く7問目の絵画問題(歴史上の出来事)をまたも瞬間解答。

歴史を得意とするジャスコ林がこれを「倶利伽羅峠の戦い」と答え、見事に正解。絵画から読み取れた「崖から人が落ちてきている」というわずかな情報のみをヒントに、この答えを導きました。

こうちゃんも「今の情報だけでは絶対に分からなかった」と、同じ歴史を得意分野にする者として最大の賛辞を林に送ります。これもまた『東大王』の形式に順応している林輝幸だからこそできた解答で、単純な知識力だけでは制することができないクイズなのが分かります。

「まぁこれからはちょっと静かにしてもらうということで」
「なんでだよ!静かにするって何だよ!」

この解答について感想を聞かれたジャスコ林は、ドヤ顔でこうちゃんを挑発。さすがのこうちゃんもその物言いには反発し、普段の仲睦まじさを覗かせました。

初めて1点差に詰め寄った東大王チーム。
ですがそれも長くは続きません。

ここで正解すれば同点に追いつける8問目はグラフ問題。これは得意とする伊沢拓司がしっかりと押さえ、再びQuizKnockチームがリードを拡げます。

数字の情報だけで世界観を連想することについては、現メンバーでは正に伊沢の独壇場。圧倒的な知識力に裏打ちされた上で更にその先を見据える、驚異的な発想力には脱帽です。

鈴木光も「スゴすぎて"は~"ってなりました」と語彙を喪失して絶賛してしまう底力。さすがのクイズ王と言ったところですね。

とは言いつつも、そこで心を折られる東大王チームではありません。

9問目10問目の映像問題(神社)(文豪)を鈴木光とジャスコ林がそれぞれ押さえて、連続ポイントを獲得。

やはり『東大王』形式の映像問題については、ホームである彼らに一日の長があります。得意分野であれば尚更のことでしょう。

これで7対7の同点に。東大王チームはビハインドを克服し、名実共に横並びの状態を作り出しました。

牙を剥く"クイズ王"

迎えた11問目。ここで抜きん出た方がゲームの空気を制すると言っても過言ではない大事なポイントで出題されたのはまたも映像問題。今度は(駅名)を答える超難問でした。

大したヒントを得られない序盤にも関わらず、勢いよく鳴り響いた解答者確定音。ランプが灯ったのは、QuizKnockチーム伊沢拓司!彼は「等持院・立命館大学 衣笠キャンパス前駅」と解答し、このポイントをもぎ取ります。

この駅名を記憶していることも凄いですが、何より凄いのがこの問題を彼が解答できた理由でした。

曰く、この駅は「日本で最も長い駅名を持つ駅」であり、さらに今年命名されたばかりである最新の情報。駅名を答えさせる問題であるならば、「出すなら今これでしょ」と考えて答えたとのこと。

溢れんばかりの知識量に加え、時事まで完全に押さえ切っての"傾向読み"を見事に成功。彼もまた『東大王』のことを知り尽くした1人のクイズプレイヤーとして、東大王チームのさらに1つ上を飛び越えていったのです。

続く12問目の映像問題では、多くのプレイヤーが同じタイミングで正解に勘付ける映像作りに。文字通り「早押し」の激戦を制したのは、またも伊沢拓司です。

「クイズ王」の異名は伊達じゃない。やはりこの男、"押し"の技術では他の追随を許しません。鮮やかに正解を決めて得意のドヤ顔を披露。

いよいよQuizKnockがマッチポイントを握ります。このステージのみの点数であればこの時点で7対7のイーブン。奇しくも事前ステージでの敗北が、ここに来て東大王チームに重く重くのしかかる展開になりました。

プレッシャーに打ち勝て

勝負を決めるかもしれない13問目は、本日初めてとなるGoogleEarthの世界遺産問題。幾度となく地球押しを披露してきた伊沢の得意分野であるイメージが強く、多くの視聴者がこの問題での決着を見据えて息を飲んだと思います。

そんな中で、最初にランプを灯したのはふくらP!
まだまだ地球も地球という段階での押しですが、ここで正解を決めればQuizKnockチームの勝利が決まります。

「…バイコヌール宇宙基地」

その解答に最大級の緊張が走ります。この段階では絶対に正解とも誤答とも言い切れない。普通なら分かるわけがない。そんな距離感からの解答でした。

静寂を打ち破ったのは、無慈悲なブザー音。残念ながらこの解答は誤答です。

ですがチームメイトからは「思った」との声がけが。ハイレベルな環境の中では、その誤答が選択肢を潰すヒントになったことが分かります。

問題再開と同時に仲間の誤答を活かしてQuizKnockチームが制するか…そう思われた矢先、開始とほぼ同時にランプを灯した東大王チームの鈴木光の姿が!

ふくらPの誤答はQuizKnockにのみヒントを与えたわけではありません。過去に何度も地球押しを成功させている彼女もまた、その誤答によってヒントと思考時間を得ていたのです。

「ポルバジン…」

いささか不安そうに答えたその解答は見事に正解!

「ポル=バジン遺跡」はロシアの湖にある小さな島中遺跡。わずか40,000㎡ほどしかない小さな存在を、見事に地球の段階で射抜いてみせました。

あと1問で追いつける。波に乗りつつある14問目は原初に立ち戻ってひらめき問題。国旗の位置関係から実際の国の配置を想像し、空欄を埋める形式。これも『東大王』では過去に見られた問題です。

一瞬で脳にインプットされる情報を信じて、誰よりも早く押す反射神経が重要なこの問題。その早押しに打ち勝ったのはQuizKnockチームの山本祥彰!ほぼ同時に押していた東大王チームの砂川は悔しさを悔しさを隠し切れません。

しかし山本が解答した「レバノン」は誤答。
またしてもQuizKnockチームは最後の一答を決めることができません。

問題再開と同時に、うなだれていた砂川が執念で解答権を握り返します!

状況に反して冷静に「オーストリア」と言い切った彼の答えはしっかりと正解。山本は国旗の情報を取り違えて中東諸国を答えてしまう手痛いミス。早押しのプレッシャーと難しさを感じる1シーンです。

実は砂川はこれがこのステージ初めてのポイント。
チームにとっても個人にとっても、大変に重要度の高いポイントを獲得することができました。

迎えた15問目。ポイントに誤答罰が発生しないこのステージでは、これが泣いても笑っても最後の出題です。

どのような結末が彼らを待ち受けているのでしょうか。

主役は遅れてやってくる

ラストを飾るのはひらめき問題。
内容はここまでに登場しなかった漢字の足し算クイズで、ひらめきだけでなく漢字力も問われる難問でした。

A+寸=B

その問題が見えたのとほぼ同時に解答権を射止めたプレイヤーは、

「砂川~!!」

東大王チーム砂川信哉!!
MCの山里も思わず絶叫し、彼の活躍を迎え入れます!

主役は遅れてやってくると言わんばかりの展開に、東大王チームのボルテージは最高潮に。最後の最後で2連続解答のチャンスを掴んだのです!

この局面でこの早押しは、誤答も十分にあり得る状況と言わざるを得ないものです。それでも多くの視聴者は、その可能性を早期に捨て去ったことでしょう。

何故ならこの時の砂川の表情は、あまりにも大きな自信に満ち溢れたものだったからです。

「…"どじょう"と"ます"」

その答えを噛み締めて思考する大将 鈴木光と、聞いた瞬間に目を閉じて顔を歪めたQuizKnock伊沢拓司。この2つの反応が、彼の答えが意味するものを明確に指し示すこととなりました。

「――最後 砂川が逆転ホームラン!」

鳴り響く正解音と共に、杉山アナの実況が東大王チームの勝利を高らかに宣言します。「"どじょう"と"ます"」=「"鰌"と"鱒"」。難読漢字の王 砂川が最後に魅せた、クイズによる意地の一問一答でした。

明確に全員が「押し負けた」と漏らす伊沢。それだけ砂川の勢いがあの場を制していたということでしょう。

砂川は最後の2問まで今回本当に目立った活躍ができていませんでした。正規メンバー昇格後初の収録がこれということもあり、彼のメンタル面を心配した方は多かったことと思います。

そのプレッシャーを見事に打ち破り、自分自身で乗り越えて行った彼の姿は実に爽快なもので。最後に深々とお辞儀をした立ち居姿に、クイズプレイヤーとしての彼の矜持を感じることができました。

土壇場で3連続正解を果たした東大王チームの追い上げにより、結果は10対9で東大王チームの勝利!大・大・大・大・大逆転劇が見事に体現されました。

QuizKnockの力量は認めざるを得ないものがあるけれど、それでもこの場は『東大王』。いかなる強敵であろうと自分達が膝を折るわけにはいかない。

そんなこの番組の主人公たる彼らの強い意志が反映されたような、見応えのあるFinalステージとなりました。

最高最上と言って相違ない知識のスポーツ&エンターテインメントを彼らは見せてくれたと思います。

『東大王』としては、最強の敵に勝利したという明確なゴールの1つを達成したのかもしれません。しかし現東大王チームについては、まだまだ始まったばかりの1回戦。

この結果が新たな波乱の幕開けとなる。そんな心地良い余韻を残した戦いになったのではないでしょうか。

おわりに

初となる東大王vsQuizKnockの頂上決戦は、東大王チームの勝利で幕を閉じました。

しかし実際のところ、前半ステージの結果だけを見ればQuizKnockチームの圧勝と言って良い内容であり、総合的な知識力や経験値の豊富さでは東大王チームが後を追う形になっているのは間違いないでしょう。

それでも早押しで東大王チームが逆転勝利を決めることができたのは、やはり『東大王』というフィールドに対する練度の差です。

細かく見て行くとFinalステージにおけるQuizKnockチームの獲得ポイントの半数も、元東大王チームである伊沢拓司によるもの。このことからも『東大王』に対する場慣れ・形式慣れが、スピードと正確さを両立させるのに不可欠であることが見て取れると思います。

ゲスト出演による一時的な対策と違い、東大王チームはこの場で勝つための修練を普段から積んでいます。その『東大王』と『QuizKnock』の違いが、今回においては純粋な力量差を乗り越える大きなアシストとなったのです。

『東大王』とQuizKnockどちらものファンを兼任する自分としてはQuizKnockチームの敗北は残念ですが、同時に東大王チームがホームでプロ集団相手に勝利を果たしたことは格別の喜びです。

一方的な試合展開でもなく、どちらにも見せ場があって、どちらも強いことが証明された上で『東大王』の看板を高らかに掲げられる。そんなあらゆる意味で素晴らしい展開と内容だったと思っています。

QuizKnockチームはここで初めて『東大王』に対する現場経験を得ました。そして彼らは1の経験から100を見出せる頭脳と向上心の持ち主。さらなる飛躍を成し遂げるに違いありません。次回があれば、この結果はいとも簡単に覆るかもしれません。

そして東大王チームも当然、格上相手に勝利したことに慢心するようなプレイヤーではありません。ここからよりクイズと真摯に向き合えるようになるのは確実です。今回は残念ながら不参加となった鶴崎修功が加われば、また異なった形を描くことでしょう。

ここからより強くなったQuizKnockチームと、より鍛錬を積んだ東大王チームの再戦。それが見られる日が本当に楽しみです。

できれば毎週見たいくらいだ…と言いたいところですが、この熱量と面白さを短期的に消費してしまうのはあまりにも惜しいのも事実。

やはり今の『東大王』は、常勝を目指す東大王チームとチャレンジャーたる芸能人チームの打ち合いあってこそ。高位の存在としての東大王チームが確立されているから、その格上との戦いが特別なものとなり燃えに燃えるのだと思います。

また辿り着くべき場所に至った時、果たすべき存在としてQuizKnockが彼らの前に立ち塞がることに期待します。

楽しいクイズの時間をありがとうございました!それではまたどこかで!

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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