あんさんぶるスターズ! アニメ ミリしら感想 単話感想

キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 第15話 夢と理想と矜持と信念 皆が輝く天の川

2019年10月25日

 

https://ensemblestars-anime.com/story/15

15話でございます。
14話から地続きのエピソード。いよいよ始まる七夕祭。

転校生のあんずちゃんが初めて作り上げるドリフェスは、プロデューサーという立場である彼女だからこそ立ち上げられた"彼らのための"ステージ。

5話で革命の犠牲となったValkyrieの再起。
彼らと再び相対する天祥院英智。

見どころ満載のこの後編は、キャラ感情もさることながら、エンターテイナーとしての矜持がひしめき合う濃密かつ爽快なストーリーになっていたと思います。

今回もしっかり書いて行きます。
お付き合い下さいませ。

気になった人々

まずは前半戦。
気になったところと今回活躍したキャラクターについて、触れて行きましょう。

fine

便宜上fineと書きますが、厳密には英智以外の3人をこの項で。

13話の記事で、姫宮と渉が一緒に練習していたことに「姫宮の意思」であるかのように言及した記憶がありますが、どうも英智からの指示だった様子。ある意味安心する展開。ただ「もっと上手くなりたい」という意思表示をしたのは、恐らく彼本人であると想像しています。

渉も相変わらずの態度ではありながらも、そんな姫宮と彼なりに真剣に向き合っているようには見え、姫宮の内に秘めたる純粋さや素直さのようなものを評価しているのだろうと感じました。

一方でそのスパルタ気味の方針に難色を呈すのが、姫宮の奴隷兼執事である伏見弓弦。内に秘めたる闇のようなものが一瞬垣間見えた気がするものの、どの程度のレベルなのかは想定できず。

彼のパーソナリティーはまだまだ不明な点が多い中で、今回確実となったのは姫宮に対する個人的な想いの大きさでしょうか。

あんな手酷く理不尽な対応を受けているのに執事的なポジションに座ってる以上、家庭の事情で仕方なくとか、何か弱みを握られているとか、ネガティブ要素の存在を意識してしまうもの。

ですがこの15話で伏見は、あくまでも「坊ちゃまと一緒にいたい」という気持ちで行動していることが分かってきました。

もしかすると出会いのキッカケや根本には何か良くない理由があるのかもしれないですが、少なくとも今の彼は姫宮と一緒にいて身の回りの世話をすることを望んでいる。そして姫宮もその彼の存在を心地よく思っているし、必要な人だとも感じているはずです。

その博愛思想というか、偏愛志向が姫宮に対して爆発してしまっていて、姫宮に厳しく当たりがちな渉への警戒心を強めているよう。

総じてかなり過保護気味なキャラになっていると言えますが、英智の決定には素直に従って姫宮と離れるなど、普段はあくまでも理性的な基準で判断ができる男なのは間違いなさそうです。だからこそ内に秘めたるものの底が知れないと言うか。

姫宮は何だかんだ言って根は良い子だし、今回は彼をどこまで可愛く見せられるかに全力が注がれている空気もあり、スタッフの愛が感じられて良かったと思います。あと改めて思うが、村瀬歩は化け物。

斎宮宗

意外と元気そうで良かった。
間で何があったのか分からないですが、表面的にはあまり過去のことを引きずりすぎてはいない様子。

全体的に1年前と大きく変わらないキャラ性で動いてくれましたが、その中でやはり気になってくるのはドールと会話しているシーン。当時からドール趣味はあったものの、会話はしていなかったはず。

別に腹話術でもなく、さして女声が上手いわけでもない。
偏執的なこだわりを見せる彼の行いにしては、子供のお人形遊びの域を出ないクオリティ。

行いの不自然さにこれらを踏まえて考えて、個人的に自分を落ち着ける目的で完結した行動であると判断しました。

多重人格…と言うにはいささか弱い気もしますが、人格分離のような手段を取ることで過去のトラウマを払拭して立ち上がったと見るべき。それを続けることで平静な自分を保って行動しているし、自分の感情に折り合いをつけているのでしょう。

こだわりが深いということは、それだけ多くのものに目が行くということで、それはより多くの感情に苛まれるということに繋がります。「裏を返せば…」を何通りも想像している内にあらゆる可能性が見えてしまい、それが自分の心からの感情なのか、脳が持つ想像なのかさえ、だんだんと分からなくなって行きます。

斎宮ほどのエンターテイナーであれば、無限にその手数を持っていると考えるべき。そしてそういったものは多く持っていればいるほど、大きな障害に直面した時に自分の心と頭をぐちゃぐちゃに混乱させます。

彼はそれを、意識的にしろ無意識的にしろ「ドールと会話する」という方法を取ることで整理し、乗り越えようとしたのでしょう。

仁兎について、1人のエンターテイナーとして裏切られた感情を否定できないし、その感情は斎宮宗という人間を構成する中で最も大きなものになっている。けれど1人の友人として時間を共にした仁兎個人への想いや感情を切り捨てることもできない。

そういった複雑な感情に折り合いつけるため、自分の気持ち同士を対話させて答えを出そうとする斎宮。

「マリオネット」の時点から、仲間や身内への執着が非常に強い少年だというのは見えていましたが、ここに来て(仁兎とあの後コミュニケーションを取っているかは不明なものの)裏切りという最も許されない選択をした仁兎さえも慮る強さと優しさを見せてくれました。

結局エンターテインメントは他者への愛と希望が宿るものであって、自己愛と自己承認欲求だけで最高なものは生み出せない。斎宮はそうやって他人を想える人間性を持つからこそ、独りよがりではないこだわりを体現できるのだと思います。

彼が臥薪嘗胆して辿り着いた新Valkyrieの境地。
七夕祭で再びドリフェスの舞台へ返り咲く彼らの姿を、見届けて行きましょう。

無意識に扉を破壊したりゅーくんさんとその破壊した扉に無意識にトドメを刺して行った斎宮くん。君達のこと、僕は嫌いではないよ。

天祥院英智

お前やっぱこのアニメの主人公じゃん。
どんだけ見せ場多いんだよ(※Trickstarほぼ不在のイベント)

「マリオネット」の際はまだ完全な悪役ポジであり、斎宮に対する個人的な感情が全く見えませんでした。しかしこの「七夕祭」で「Valkyrie自体は好き」という想いが見え、目的がなければ普通に話をしてみたかったと思っているようにも見えました。

それは彼の1つの心残りにもなっていて「Valkyrieを解散してはどうかという話が出ている」という物言いから、彼はその意見に賛同していないし、現状から彼らを救い出したい思っていると感じました(※賛同しているなら、生徒会長という立場上「すべきだと思っている」という言い方になる)

ですが、昔と変わらずの邪悪な言い回しでValkyrieに襲い掛かる英智。皇帝時代を彷彿とさせる英智くんムーブに、懐かしささえ感じる今日この頃。

一見「人の心がないのか?」と言いたくなる行動ですが、英智とValkyrieの関係性や斎宮の人間性を考えれば「申し訳ないことをしたから、次のドリフェスに来てくれないか」なんて言い方の方が100億倍侮辱的行動なのは火を見るよりも明らか。

更にそもそもあんなことをしておいて「実はValkyrie好きなんだよね」という感情でいることがもう歪みまくっているし、英智がValkyrieに声をかけること自体がどう足掻いても100点にはならない行動。

にも関わらず!(接続語の応酬)奇しくも「現状のValkyrieを学院に引き戻せるのは英智しかいない」というのに頭を抱えてしまう。

総合して考えると、あの時の英智はValkyrieを奮い立たせる上でのベストは尽くしたと考えられます。

基本的に英智は論理的に自分の目指した理想に向かって行ける判断力の持ち主。ただの悪人ではないことが分かった上でこういったシーンが挟まったことにより、過去の彼の悪辣な発言も"意図があってやったこと"という回顧ができるようになっているのは良かったと思います。

蓮巳敬人

「あの夢ノ咲学院の恥を撃墜する」

バッキューン!♥

エンターティナーですねぇ!

"ちゃんと"求められた通りやる。
"ちゃんと"ファンの期待には応える。
掛け声は学院の恥がどさくさに紛れて勝手に付け足したものだけど、そんなことには気付いていようがいまいが関係なく"ちゃんと"やる。

キャラ崩壊お構いなし。
ステージの上に立つ以上は、自分自身の尊厳を保つよりも相手を喜ばせることに終始すべき。そんな彼の真面目さと心の強さが垣間見えます。崩壊が醸し出す"一貫したキャラクター性"。正にAmazing!(ここまでCV:日々樹渉)

「俺をこの世から消してくれ…」

"なかなか"良かったぜ(もう"最高"って言っていっそ殺してやってくれな)

七夕祭 始まる

さぁバッキューン!から始まる後半戦!
七夕祭がいよいよスタート!

相手のパフォーマンス中でも自分のパフォーマンスで割り込めるという、音楽はどうするんだという疑問点からトンチキバトル展開を彷彿とさせる設定ですが、今回は(アニメ的には)あまり関係がなかった様子。

この項ではその内容についてしっかりとしたためて参ります!

紅月とRa*bits

因縁の対決。
…ということになっているものの、前回はシステム的な問題での致し方ない敗北だったため、「紅月に敗れた」と言うべきかは実際は微妙なライン。

ただ、その敗北を「自分達に魅力が足りなかったから」と判断して、前向きに乗り越えてきたからこそRa*bitsは成長したのも事実。やはり彼らにとって自分達の成長を最も実感させてくれる相手は、この紅月をおいて他にいないというのは間違いないでしょう。

残念ながらRa*bitsは未だ紅月に届かずといった結果に。
しかし紅月はRa*bitsの健闘を称え、自分達のライバルとして彼らのことを認めるような発言と態度を見せてくれました。

その事実が、Ra*bitsにとってどれだけの救いと自信に繋がったことでしょう。そして操り人形でしかなかったValkyrieから独立し、1人のリーダーとして下級生達を率いる選択をした仁兎にとっては、より長きに渡る苦悩の時間に手応えを得た瞬間でもあったはず。

僕はここに来てようやくRa*bitsというユニットが、独立して完成したなと思いました。

どうしてもあの2話のラストから、"可哀想な新米ユニット"というイメージを拭えないまま彼らを見ていたように思います。彼らはそれをこの物語中で解消してくれました。今まで細かく散りばめられていた彼らの健気に努力するシーンが、ようやく実を結んだという感じ。

だからこそライブシーンがバッサリ切られてしまったのは少々物悲しさもありますが…こればかりは仕方ありませんね。

しかし実力的にはまだまだこれからなのは変わらず。
Trickstarが主人公として完成されたユニットとなった今、ゼロから少しずつ成長していく姿を見せてくれるのは彼らRa*bitsだけ。彼らを通して見る夢ノ咲学院も、また良い味を出してくれることだろうと思いました。

新しい太陽と旧き太陽

ステージ上に残ったRa*bitsに襲い掛かるのは、夢ノ咲学院最強ユニットであるfineです。

実力もまだ遠く及ばないであろう存在である上に、紅月戦で全力を出し切った上での連戦。万全とは言い難い疲弊状態にある中で、到底敵う相手ではありません。

そうこの七夕祭、勝利したチームはステージ上に残れる、敗北したチームは何度でも戦えるという机上では理想的な条件下で行わているものですが、蓋を開けてみると実は"全員の体力が空になるまで競い合うデスゲーム"の様相が色濃く出てしまう内容。

その辺りの現実味のなさが、まだあんずが新米である証でしょうか(今回はお祭りとしての側面が強いので成立しているとも言える)

この状況では圧倒的大差での敗北は間違いない。
幾ら"見てもらえる"とは言え、またあの認められない地獄を味わうことになるのではないか…。トラウマを刺激されて、Ra*bitsは完全に委縮し切ってしまいます。

「ちょっと待ったァ!」

そんな彼らの前に颯爽と?現れたのは、仁兎のかつての仲間、影片みかの姿。もちろん斎宮宗も一緒に登場。新Valkyrieのお目見えです。

Ra*bitsを助けるValkyrieという構図。
口では罵っていても、斎宮の内心に仁兎を想う気持ちが眠っているのは確実で、仁兎も「お師さん…」と言い間違えていることから、彼へのリスペクトを失っているわけでもない。何とも微妙な関係性です。

しかし助けてくれたことは嬉しいものの、過去の斎宮とValkyrieをよく知っている仁兎は、支持者の少ない大観衆の前でValkyrieがライブを行うのは、無理だろうと考えます。それは「マリオネット」のラストライブで彼が気付いたことでもあります。

「…何か失礼なことを考えているね」

しかし斎宮はそんな仁兎の心中を読み取るように口を開きます。そう、斎宮とてまたその押し付けのリスクに気付いているし、それを超えられるビジョンが見えたからこそ七夕祭に立つことを選んだはずです。

前回の記事で「斎宮はトラウマによって大衆を避けている」と書きましたが、むしろ彼は自身の芸術性と大衆を喜ばせるエンタメの融合を納得できるレベルに仕上げられるまで、"押し付けにならない自信が持てるまで"身を潜める選択をしていたのかもしれません。あくまでも前向きな精神を持って。

斎宮が精神的に脆いという認識に変わりはないのですが、今回の彼からは「芸術性、エンタメ性を自身の人間性で捻じ曲げることはしない」といった矜持を感じられ、僕自身少し彼の評価を低く見積もっていたなと反省しました。

かくしてfine対Valkyrie、学院を照らす新旧の太陽の戦いが幕を開けます。

最強のfineに衝撃を与えるステージ

2人になったValkyrieのライブは、対戦相手であるfineすらも圧倒するクオリティ。

斎宮宗が体現する新しい世界観は、彼らのことなど全く眼中にないはずの大衆すらも魅了してしまうものでした。

その芸術性の支えとなったのは、伏兵 影片みか。
あの一件以降も斎宮のそばに寄り添い続け、今もあの時と変わらず彼に尽くし続ける信奉者にして功労者です。

「な、何なのその動き…なんでわざわざそんな難しい方を選ぶの…?」

明らかに自身の身体能力やポテンシャル以上の動きを見せる影片の姿を見て、現在特訓中の姫宮は驚きを隠せません。

できないものはできない。嫌なものは嫌と断じ、できる範囲での努力を続けている姫宮にとって、影片の限界を超えたパフォーマンスには強く感じるものがあったのでしょう。

「さぁ? 俺、お師さんに教わってる通りにやってるだけだからな」

その影片は、自分の限界なんて考えたことさえないようです。ただ敬愛するお師さんのために、やらなければならないことをやっている。できていないとしたらできるまでやる。

斎宮の望む100%を体現できるまで努力し続ける。それが彼の在り方であり矜持です。

影片と姫宮は同じ「誰かに憧れて付き従うこと」を情熱に変えて努力しているタイプ。同質の人間性を持ち今なお足掻いている姫宮には、自身で限界を定めない影片の行いが、酷く痛烈に心に焼き付いたことと思います。

「感心しませんね…それでは身体が持ちませんよ…?」

それを案ずるのはfineの伏見弓弦です。
影片の言う「教わった通りにやっている」ということをそのままの意味で捉えれば、それ以外のことをしていないということになります。そして確かな下積みなく無理なパフォーマンスを続けることは身体の大きな負担となり、いつしか破滅へと繋がって行ってしまう。

「お師さんの役に立てるなら、全部全部売り払ったる!」

影片と伏見は「誰かに尽くすこと」を自分の行動理由とする2人であり、この組み合わせもまた対比的に考えることが可能。奇しくも姫宮と伏見という強い繋がりを持った2名に対し、同時に精神的アプローチをかける人間性を、影片は持っていました。

「人生も命も何もかも…俺の明日なんか要らんわ!」

自分のアイドルとしての将来まで切り捨てて、今できるパフォーマンスに殉ずる。それは献身とは程遠い自己犠牲。

"尽くす"ということについて自身を上回るだろう価値観を見せつけられた伏見もまた、これを機に大きく変わって行くのではないでしょうか。

「これは……」

その完成されたパフォーマンスに魅了されるのは他でもない、彼らをここに参戦させるために策謀を張り巡らせた天祥院英智です。

「fineの誇る最高の歌と踊りの延長線上…より高次元のパフォーマンス…」

言葉にはしていないものの、アニメにおいては初めて英智が誰かを"自身より上である"と認めた瞬間。しかも"認めざるを得なかった"という衝動的なものに囚われる形でそれは訪れました。

「僕達が模索している最中の進化形を…斎宮くん…君は…!」

あの時確かに英智に敗北した彼らが"認めさせる"形で紡いだ新しい形。誰も見たことがないほどに洗練されたステージ。

それを持って新Valkyrieここに再臨と相成ったのです。

仁兎と斎宮

そしてここからは所見ですが、彼らがその境地に至れたのは「仁兎を欠いたから」であると僕は想像しました。

と言うのも、当時のValkyrieは仁兎の存在によって成り立っていたところがあり、斎宮もそれを尊重する形でステージを創っていました。

しかし、仁兎はそれに納得していたわけではありません。
しかも声変わりに直面した仁兎から声を取り上げてまで元のままの表現にこだわったことで、Valkyrieの表現は停滞し表現の幅を狭めることになりました。

体裁上は英智の謀略によって失墜したValkyrieの権威ですが、恐らく何もしなくても彼らの凋落は免れられなかった。それがたまたまあのタイミングだったというだけで。

あの一件でValkyrieは崩壊し、経緯はどうあれ彼らは柱であった仁兎の歌声を失うことになりましたが、それによって彼らの元には"斎宮宗が持つ際限のない芸術性"と"それをただひたすらに信じて体現しようとする影片みか"のみが残ることに。

結果として、Valkyrieは2人になったことで一枚岩として完成し、より深い追及が可能になってしまったと言えるのです。

もしかしたら仁兎があの時、"お師さん"を恐れずに自分の展望を口に出せていたら、3人に乗り越えて行く未来もあったのかもしれません。でも当時の彼らにそれはできなかった。

それは仁兎の決め付けのせいでもあったし、決め付けさせた斎宮のせいでもあったでしょう。でも、内情を知っている受け手の僕らは、どちらかが悪いともどちらが悪いとも言えない。そんな関係性のはずです。

だから彼らはこうなるしかなかったのかもしれない。
Valkyrieは2人となって、斎宮の世界観だけを本当に確実に体現できるユニットになり、仁兎はRa*bitsとして自分を100%出せるユニットを作る。

それはお互い望んだ形ではなかったかもしれないけれど、お互い「これで良かったんだろう」と思える着地点。

「思い出したかね天祥院! 夢ノ咲学院における、真のトップアイドルが誰なのかを!」

紅月に認められるまでに成長したRa*bits。
そしてfineを圧倒するまで完成されたValkyrie。

「今日から毎晩、僕達の姿を悪夢に見るが良い! カーッカッカッカッカッカッ!」

錯綜する異なった矜持と、同様に迎える確かなる成長。それが内包されているからこそ、このライブには大きな魅力が感じられます。

影片みかの抱える闇

少し話が逸れますがどうしても書きたかったので。

今回、影片についてはお師さんを絶対的に信奉する者として描かれており、表面的に感じられるパーソナリティーに以前と変化はないように思いましたが、その中で僕が一番気になったのは仁兎との関係性です。

そもそもValkyrieが2人になると分かった時点で仁兎が裏切り者扱いされるのはほぼ確実視していて、その延長線上で斎宮が仁兎への情を捨てられないことも概ね予想通りでした。

なので、どちらかと言わずとも「影片が仁兎をどう思っているか」の方が見当がつかず、今回何かしら語られることに期待していました。が、語られませんでした。

この語られなかったというのが何よりも恐ろしい。
と言うのも今回、影片は徹底して仁兎の話をしていません。

話をしていないどころか目を合わせるシーンもないし、言葉も交わしていない。総じて影片が仁兎のことをどう思っているのか読み取れる描写が1つもないというのは、逆接的に「想像を絶するほど快く思っていない」と捉えるのが自然です。

もちろんそうではない可能性もありますが、仁兎がステージ上で2人に語り掛けたシーンでさえ、ちゃんと対応する斎宮に対して"仁兎が存在していないかのように振舞う"影片は、不気味以外の何物でもありません。

残りのストーリーでValkyrieに出番があるのか不明ですし、それを考えると何か少しでも思うところがあるなら、このアニメならそれを匂わせる描写を入れてくるはずです。

それがなかったということは、つまり"ない"のが正解なわけで、まぁ"そういうこと"なんだろう、と思っています。

あの年齢で特定の個人に依存して身も心も捧げられること自体極めて闇が深いですが、この仁兎との関係性にはその真髄が隠されていると感じます。いつか知れる日が来たら、その点について語ってみたいキャラですね。

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  • この記事を書いた人

はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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