あんさんぶるスターズ!

キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編㉜「光輝★騎士たちのスターライトフェスティバル」

2020年12月17日

引用元:『あんさんぶるスターズ!!Basic』「光輝★騎士たちのスターライトフェスティバル」

2016年最後のイベントストーリーに当たる「光輝★騎士たちのスターライトフェスティバル」。厳密には次の「ニューイヤーライブ」も2016年公開ですが、立ち位置的に2017年ストと言う方が自然でしょう。

アニメでも取り扱われた「スタフェス」が32記事目にして登場。七夕祭やハロウィン同様、数年に渡って展開されるタイプの季節系イベントです。

しかし、ほぼ1つのストーリーに軸を据えて映像化された前2つと異なり、「スタフェス」は複数のストーリーを組み合わせての映像化だったと聞き及んでいました。よってこの「スタフェス」が「アニメのどの部分を含んだものなのか」が、僕にとってまず見極めなければならないポイントとにもなりました。

2016年では数少ない、Knightsがフルメンバーで出演するイベントでもあります。彼らと共に多くのキャラが絡み合うこの物語を、しっかり読み解いて行きましょう。

Knightsの"はじめて"

『あんさんぶるスターズ!』では初めてとなったクリスマスに行われるドリフェスを扱ったシナリオ。

2015年での「流星のストリートライブ」では「イブイブライブ」なるものが行われていましたが、クリスマスの共通イベントとしてはこの2016年が1つのスタートと言えるのでしょう。

位置付けとしてはSSに挑むTrickstarの壮行会。ただし内部で行われるのは、学院内の数多のユニットが激突するバトルロワイヤル形式のどんちゃん騒ぎ。クリスマスと言うよりは、その年の総決算としての意味合いが強そうです。

ちなみに僕はアニメ新規なためTrickstarがSSに向かって行くあらましを知っているわけですが、アプリ内ではその内容について触れているイベントはとても少ない印象でした。今回の後半にて、ようやくSS関連の突っ込んだ話題が出てきたなと思った次第です。

2015年,2016年はTrickstarが活躍するイベント自体が少なく、それも裏での彼らの努力の存在を暗示しているようですね。そんな彼らのターンは2017年にて。その前の大きな伏線の1つは、今回提示されたように思いました。

さて、話を戻して今回の「スタフェス」にてメインに据えられたユニットは、夢ノ咲の古豪 Knightsです。リーダーである月永レオも復帰し、フルメンバーで挑む公式ドリフェス。その内容が描写されること自体、実はここまで読んできたストーリーで初めてのことです。

ですが今回のKnightsは絶対的な主役という感じではなく、別の物語を動かす進行役のような立ち回りが魅力的に光りました。

確認したところ、そもそもKnightsの活躍はここまで「白と黒のデュエル」のようなTrickstar絡みのイベントと、「ジャッジメント」などKnights単独で活躍するイベントが中心。他のユニットと絡んで新たな物語を描くといった機会がとても少ないようでした(※ゼロではない)

彼らがやたらと内輪で仲良しこよししているように感じるのも、そのためかもしれません。他のユニットより"他人と絡む"ことが少なかったわけですから。さすがは個人主義で不干渉がモットーのユニット。他人と群れずに"個"を追求した活躍を、ここまで確かに見せてくれていました。そのせいで中身はズブズブのズブなんですけど。

そう考えると、この「スタフェス」はKnightsにとって非常に"初めて"が多いストーリーだなと感じます。

ここで見せてくれた彼らの新しい一面こそ、夢ノ咲学院というコミュニティにおけるKnightsの在り方を象徴するものだと言えそうです。

王の帰還 騎士たちの変化

スタジオに集ったKnightsの雰囲気は、これまで見せてくれたものからは概ねは変わりません。およそオフモードの彼ららしいグダグダとした雰囲気で覆われており、それを些か快く思わない司が苦言を呈しているという状態。

ただ「ジャッジメント」以降のレオはKnightsのドリフェス参加に意欲的。その闘争本能を隠すことなく曝け出し、Knightsの威光を轟かせようと準備を進めています。

それに焚き付けられる形で他のメンバーもドリフェスの話題を出すことが増え、変わらない雰囲気の中でも前のめりな意志が見られるようになったと思います。

その変化は傍から見る分には微々たるものですが、内的な意味では確かな変化です。腕を磨いてパフォーマンスをして、アイドルとしての輝きを体現する。それだけを求めるならば、Knightsは今までのやり方でも十分な力を持ったユニットでした。

しかしリーダーである月永レオが戻ってきた以上、ユニットのやり方はそのスタンスに依存します。闘争の時代を生き抜きKnightsの原型生み出した彼は、当然"戦い"という手法を用いてKnightsを動かそうとするでしょう。

活動の方針に「自ら戦いの場に臨む」という要素が含まれれば、今までと同じというわけにはいきません。用意された場に赴くだけでなく、自ら戦いの場に身を置く意志を持つ。率先して戦い身を置くことを選べば、彼らの在り方は自ずと大きく変わって行くことでしょう。

平和になってからの夢ノ咲の実情を、レオはまだよく分かっていません。同様にここまでのKnightsの歩みについても、未だ全てを理解したとは言えないはずです。彼が把握しているのはせいぜい朱桜司の人柄とユニット加入の意味、それに付随した事情くらいのものだと思います。

とするならば、レオは「そもそもKnightsがどうして今の形になったのか」を知ろうとするのではないでしょうか。

司を加入させて今の活動をする「Knights」をレオは知り得ません。その在り方と司の存在にはもう納得しているものの、そこに至るまでの変化をもたらした人物とはしっかり話をしなければならない。「ジャッジメント」を断行した彼ならば、そう思うと思います。

レオにとってその人物は、少なくとも「自分のKnightsを作り変えた者」です。今はレオも当時とは違う価値観を持っているでしょうが、根元には必ず変わらない情熱があります。そう考えると、変化を促した者には100%同意できるわけではないはずです。

ただし彼はあくまで「今のKnights」を尊重するつもりでいますし、それも受け入れてリーダーへの復帰を決めました。だからその意志は決してネガティブな意味ではなく、純粋に今後を思ってのこと。「今のKnights」を知るためには、今の形を望んだ人物の本音を聞く必要があるだけのことです。

変化を望んだ者

そこでレオが白羽の矢を立てたのが、2年生の鳴上嵐でした。
今の「輝かしく優しいKnights」を実現するために、身を粉にして努力したのは彼であると。直近の彼の態度やテンションも含めて、そう断定したのだと思います。

「ほら、ナル……。綺麗なお腹を掻っ捌いて、内臓を見せてゲラゲラ笑ってくれよ」

ここまでのキャラの発言を総合するに、月永レオが率いていた頃のKnightsは相当に攻撃的なユニットだったようです。動乱の後に彼が去った後は、ユニットが潰えかねないほどのダメージを負ったことも示唆されています。

「もう高校生なんだ、良い子にしてないとサンタさんがプレゼントをくれない……な~んて思ってお利口さんにしてるほど、お互い夢見がちじゃないだろ?」

そのKnightsを首の皮一枚で存続させ、その在り様を変えてまでも復活させることを選んだ者。ボロボロのユニットなど見捨てて新天地に行けば良いものを、あえてそうせずに茨の道を歩んだ者がいる。

それほどの意志の裏に、何の信念も理由もないということはあり得ない。

にも関わらずそれを格好つけて明かさずにいるとしたら、月永レオはその相手を見過ごせない。

「…………」

あまりにも横暴で、あまりにも横柄で、あまりにも仲間想い。情を傾けすぎた結果が暴力に繋がるそのやり方からは、強い狂気さえ感じるというものです。

ですがそれくらいしないと話してくれない者もいて、本音を聞き出せないこともある。全ての人に褒められるとは言えないけれど、それでしか結べない絆があるのは事実。彼にとってKnightsとは、そういうユニットなのかもしれません。

窮地のValkyrie

一足早いクリスマスパーティに勤しむKnightsの耳に入ってきたのは、Ra*bitsのリーダーである仁兎なずなの受難でした。

正確にはValkyrieに差し障る問題で、仁兎は古巣のトラブルに巻き込まれているという状態。ValkyrieとKnightsのメンバーには何かと接点が多く、やたらと仁義に厚い瀬名泉の迅速な行動によって見事彼らもその渦中へと巻き込まれることになりました。

瀬名はクラスメイトとして斎宮と接点を持ち、部活動で仁兎との接点を持っています。同様に両名との接点を持つレオが、この2人の間を取り持つ(?)役を買って出ます。一方で影片には友人関係にある嵐を中心としたメンバーが寄り添う形です。

それぞれが持つ「Valkryieへの想い」が正しい形で交わるよう、力を尽くしたのがKnightsでした。

ごたごたが有りながらも内部で強い絆を形成している彼らだからこそ、より親身になってValkyrieの実情に斬り込むことができた側面もありそうですね。

芸術家として繋ぐ関係

個人的に見応えがあったのは、アニメではサラッとしか触れられなかった斎宮宗と月永レオの会話です。

共に芸術家肌でありながら価値観の相違が見られるこの2人は、アニメ視聴時の時点から「反りが合わないながらも互いへの敬意はあるタイプだろう」と想像しており、記事内で言及した覚えもあります。

今回で初めてガッツリ会話するところを見せてくれましたが、やはり想像通りに罵詈雑言を飛ばし合う地獄絵図。周りで巻き込まれる人たちからしたら、「できるだけ引き合わせたくない2人」に名が挙がりそうな気がします。

ですが彼らの中では意外とそうではないはず。仲良しではないが仲が悪いわけでもない。むしろ互いに違う感性で芸術を扱っているからこそ、相手への忌憚ない言葉が許容されると思っているのでしょう。

特にレオは直接他人を下げるようなことをあまり言いませんから(※真面目な話をする時は真面目な顔をするイメージ)、斎宮に対しては相応に芸術家として特別な感情を持っていると感じます。

自然とぶつかり合い、自然に罵倒し合うことが引いては互いのためになる。彼らにとってはそれが適切なコミュニケーションで、必要な会話である。少なくとも本人たちの間では、そういった意思疎通が取れているようです。

思想を理解されない孤独を味わうことが多い芸術家にとって、共に並び立つ者は誰であれ貴重な存在です。それが口を開けば罵り合うような敵対者であったとしても、"ぶつかり合えること"が既に1つの幸せだと思います。

それもまた、彼らにとっては「友」と言うべき存在になるのかもしれません。

自分とは異なる才能を持った天才。そこから刺激を受けてこそ、自身の煌めきもより高いレベルへと昇華するものですから。

「元気だねぇ……。俺たちはもう三年生なんだしさ、もうすこし落ちつこうよ」

そんなワガママな"芸術馬鹿"と身勝手すぎる"王さま"の2人の間に「友人」として入り込む瀬名泉の姿には、今回ばかりは100%の同情を禁じ得ません。普通の感性を持つ普通の間柄であったら、とても彼らのやり取りを捌くことなどできなかったでしょう。

「いいけどね。こういうのって、ちょっと青春っぽいし」

ただ瀬名は瀬名でまた1つ明確な変わり者。
そしてより深いところで人を解釈して交流しようとする、感情的で情熱的なところがある少年です。

2人のことも、2人の関係性のことも上っ面だけで評価することはなく。その深淵に想いを馳せられるからこそ、今のこの状況さえも好意的に楽しめるのだと思います。

普段はトラブルメイカー気質の瀬名泉が、今回はしっかりとバランサーに。生き馬の目を抜く偏屈者の集団においては、彼のような感性こそが必要とされるものなのかもしれない。そう思わされました。

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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