始まりましたTVアニメシリーズ第3期『アイドリッシュセブンThird BEAT!』!
アニメからミリしらで入った感想書きとして、今期も1話ずつ執筆させて頂こうと思います。元「キンプリオタクのミリしら感想」改め超感想エンタミアのはつです。よろしくお願いします(※2期までとは執筆していたサイトが変わっていますが、継続の内容です)
ゼロアリーナのこけら落とし公演を大盛況で終え、飛ぶ鳥を落とす勢いでその存在を輝かせ続けるアイドリッシュセブン。共に3daysライブを成功に導いたTRIGGERとRe:valeを含め、彼らは「今最も勢いのあるアイドル」と言われるまでになりました。
2期は1つの大きなハッピーエンドを描きましたが、その裏で全ての問題が円満に解決したわけではありません。そしてその物語は思わせぶりに登場した新キャラが、九条天への敵意を剥き出しにするシーンで幕を閉じました。
まだまだ先では厳しい展開が待っているのが明白だと言わざるを得ない状況で、新たに始まるアイドルたちの戦いの物語。その第1話「星を覆う雲」は、今後の展開の軸となるであろう情報が多く投げられた、全ての指針とも言える一回でした。
手始めにまずは、その気になったところや今後の注目点を拾い集めて行こうと思います。3期の感想のスタート、よろしければお付き合いくださいませ。
目次
TRIGGERの失墜
TRIGGERが干されている?
3期は2期でサブに回っていたTRIGGERの活躍が見られれば…とは思っていたものの、第1話の開幕から流石にこれは厳しい展開。逆に言えば、彼らが話の中核に据わるのは早くも確定的になったと言えます。うーん嬉しいなぁ。
しかし彼らの所属している八乙女事務所は、1期では周到な芸能界への根回しでアイドリッシュセブンを苦しめた気鋭の実力社です。2期でもその人脈を駆使して、(結果的に)問題の解決に貢献する動きも見せてくれました。
その看板であるTRIGGERが干されるとなると、相当に特殊な事情が存在すると考えるのが自然でしょう。どういう訳かそれほどまでに大きな圧力が、彼らの身に降りかかっている状況だと推察されます。
とりえあず1話ではこの情報だけが冒頭でスッ…と提示され、その後は彼らが干される前の話が展開されました。しかも結局1話では「どうしてそうなったか」はおろか、そこに至る直接的なヒントさえ明かされないままでした。正気か?どうなってる?
2期も1話冒頭でアイナナのセンター交代が匂わされた点は同様ですが、彼らの場合「止むに止まれぬ事情なしでそうはならないだろう」という推測が立つ分まだ心は穏やかでした。
一方で3期はどう見積もっても"最低のゴール"が真っ先に提示されたため、その後の話を全くポジティブな気持ちで聞くことができません。1話で展開された全ての話が、TRIGGERを地獄へと突き落とす道筋になり得るという認識でいなければならないからです。
はてさてこのアニメ、開幕からどうしてくれようか。いやどうされてくれようか(?)『アイナナ Third』は、そんな面持ちで視聴し始めざるを得ませんでした。
未解決だった問題たち
TRIGGERのことは一旦置いておき。第1話は「あけぼのテレビ開局50周年記念パーティー」に招かれた3組のアイドルを中心に、数多くの情報が会話の中で展開される内容でした。
例を挙げると「MEZZO"の不完全さ」「九条家と環の確執」「壮五の家庭事情」「大和の親子(芸能界)関係」など、概ね2期の段階で解決が先送りにされた話題が中心です。やはり作品ファンが気になっている点については、今回幾つかの解決を見られると想像しておいて良さそうですね。
それではそれぞれの中身について、少しずつ触れて行きましょう。
MEZZO"の不完全さ
2期では九条(四葉)理絡みの対応で爆発しかけた関係性が、九条理の登場で誤魔化されるという終結を迎えたMEZZO"の2人。改めて文字に起こすとなかなかなことである。
今回に至ってその点が明確に尾を引いているわけではなさそうですが、正式に和解したとは言いづらいところに落ち着いているのは事実です。彼らの語らいの機会は、まだまだこれから見られるのではと思っています。
そして小鳥遊プロの人員増員により、彼らのマネージャーには勝手知ったる大神万理が就くことに。2期の時点で紡では全タスクを背負い切れなくなっていましたし、この辺りの変化は妥当と言ったところでしょうか。
かつて2人組のアイドルとしてパートナーと様々な経験を経た万理であれば、MEZZO"により親身なアドバイスを向けてあげることができるような気がします。この2人の危うさは割と僕の心配の種でしたが、この変化によって解決への光明が見えてきたように感じました。
万理もRe:vale絡みでようやく人間性が見えてきた段階ですし、3期では新たな活躍の場を通じて、もっと人間らしいところが見れたら嬉しいですね。今後に期待です。
九条家と環の確執
2期クライマックスで天が今の家族を守る選択を取ったことで、天と環との間に明確な軋轢が生まれました。
環はああいうキャラなのでイマイチ怒りの度合いが分かりにくいものの、普通に考えれば天が完全に拒絶の対象となっていてもおかしくない状況です(※過去の関係性のおかげで実際はそこまでではなさそうなのが救い)
対する天もどこか環の怒りに対して鈍感な気配があり、基本的に自身の正しさや高潔さに実直なのは相変わらずと言ったところ。2人の会話はそのテンション以上に際どいものだと感じざるを得ませんでした。根は優しい人ではあるんですけど、そういうところがなかなか、なかなかね…。
会話の流れ的には九条家の問題も完全に決着したというわけではなさそうですし、天から鷹匡への想いも現段階では不明瞭。それらを鑑みると彼らが今以上に揉めるというよりは、環を介して天が家族関係と向き合っていく姿の方がイメージはしやすいです。
天が話の中心に来るのは確実視されるので、環との関係性も含めて今後の展開を楽しんで行けたらと思います。てんてん、問題が山積みだ。
壮五の家庭事情
芸能界の外側からアイナナを苦しめる壮五の親子問題。
個人的な問題としては、全キャラで最も根本的な解決が難しいのは彼ではないかと思います。どうなるのか分からなさすぎるので正直あまり考えたくない(※見たまんまを受け入れたい)のですが、今回で差し込まれてきた以上は諸々の問題に絡むということでしょう。
十龍之介の善意による爆撃で目が光を失うという、あまりにもヒリヒリする光景を見せられて目を覆いたくなったのが第1話のハイライト。堪らねぇぜ。「親が子どもを嫌うことなんて絶対にないんだから!」「十さんは、きっと温かい家庭で育って来られたんですね」やめてやめてやめて。
龍之介は龍之介で親の離婚を経験しており、そこから他人よりは親子関係の本質性を実感できる立場です。故に、自身の経験から断定的な助言をしてしまいがちなのだと思います。
「悪い経験から這い上がって、結果良い経験をした」という知見は、時と場合によって強力な毒にも薬にもなり得ます。励ましの言葉が逆に相手を傷付けることは、どうしても無くならないものです。
ただし壮五がどこかで親と向き合う前から諦めてしまっているのも恐らく事実であり、その在り様を変えられるとしたら、必要なのはこういった1つ1つのやり取りの積み重ねなのかもしれません。
その場だけで見ればとんでもない地雷の踏み抜き方をしていますが、長い目で見ればこの会話にも意味がある。先の物語に、そういう未来が存在してくれていたら良いなと感じます。
大和の親子(芸能界)関係
2期から引き続いて3期で最も避けて通れない印象だったのが、この二階堂大和の親子(芸能界)問題でしょう。
と言うか2期でも何1つ解決していないどころか内情さえ正確には不明な状態で、その他の問題を「保留中」とするならば、明確に「継続中」と言える唯一の問題だったように思います。そのせいか第1話でも、もはや当たり前に存在するものとして描写されていました。
大御所俳優である千葉志津雄の愛人の息子ということで、芸能界的には存在自体が爆弾とも言える大和。3期から直接的に関与してくる大手事務所の存在は、否応なく彼を世のしがらみの中に落とし込んでしまうでしょう。
「千葉サロン」と呼ばれたきな臭い集団の存在を隠蔽しようとする星影芸能事務所と、彼らの失墜を狙うツクモプロダクション。
双方にとって二階堂大和は情勢をコントロールするキーマンになり得ます。
元々は父親への復讐を考えて芸能界入りした大和も、今ではアイドリッシュセブンの頼れる兄貴分。良くも悪くも私怨のみで行動できる立場では無くなってしまいました。より多くの"しがらみ"を抱える大和の存在が今後の物語にどう影響するのか、しっかりと注視して行きたいと思います。
千との関係性もまだふんわりしているところがありますし、見るべきところは多いですね。大和のことは本当に、「いよいよだな」という気持ちで見ています。
事務所を取り巻く事情
3期では上記した星影とツクモの出現により、芸能界を牛耳る大手事務所との関係が1つの鍵となるようです。
前向きに言えばそのレベルまでアイナナの7人が実力をつけてきたということ。芸能界の重鎮が無視することができない存在にまで、彼らは登り詰めたということです。
故にここからが本当の芸能界との戦いとも言え、相応にどうしようもない展開が待っていることが想像できます。そこで今まで以上に大きな意味を持ってきそうなのが、所属事務所とアイドルの関係性です。
大手2社は「恩を受けたら抜けられない 星影一座」「人も消耗品のタレントメーカー ツクモ」と業界内で揶揄されており、片や義理と人情、片やビジネス色を強めて頂点に登り詰めた経緯があります。両極端故に二大巨頭と言えるのでしょう。
しかし事務所が力をつけて拡大化するならば、確固たるノウハウに依存するのは当然のことです。それを徹底できたからこそ、彼らは超大手の座に登り詰めたのです。実際のところ、星影一座は小鳥遊プロのようなアットホームな職場の到達点と言えますし、ツクモプロは八乙女事務所が目指している頂点の形だと思います。
今は双方共に目を懸けるアイドルを絞っているから無用な軋轢は生まれていませんが、人員が増え事務所が拡大すれば新しいアイドルをプロデュースする必要も出てきます。そうなった時には、自ずと自分たちのやり方に合った人だけが周りに残ることになるでしょう。
今回では特に小鳥遊プロの発展が新たな軸に据えられていますから、尚の事「企業としての在り方」と「アイドルと一蓮托生となる仕事」の相反する点には気を払っておくべきだと思っています。
3組の中では、Re:valeの所属する岡崎事務所は比較的バランスよく立ち回っている印象。2期時点ではあまり組織内部のことが明かされていないのですが、3期では彼らの世渡りの上手さがアイナナやTRIGGERに助け舟を出す展開にも期待して良いのかもしれません。
仕事である以上、全ての行動をアイドルたちと共にすることはできない。けれど、仕事だからと言って全てを割り切ってしまえば明るい未来は待っていない。
人を商品にする仕事とは、そういう難しさを孕んでいると思います。
例えば新しく入ってきたらしい小鳥遊プロの事務職は、アイナナの歴史を知る者ではありません。現在のメンバーとの温度差もそれ相応に生まれるでしょう。"仕事"という概念と向き合うならば、その辺りも話に絡まないとは言い切れないところがあります。
考えすぎと言えばそうですが、『アイナナ』はアイドルという仕事のリアルと真摯に向き合っている作品です。だからこそ"仕事"の多面性については、特に気を配りながら見て行きたいなぁと思っています。
杞憂であればそれが一番良い。ただどうせ悪いことが起こるのならば、心構えはしっかりと。というのは常に前提にありますね。用心に用心を重ねたところに、隙間からクリティカルを貰う体験を是非ともお願いします。
新キャラクターの所感
それでは最後に、登場した新キャラクターについての所感を、少しずつ述べて行きましょう。
月雲了
九条鷹匡以来の逸材。聞きたいだろぉ?(右耳)
ツクモプロダクションの次男であり、恐らくは経営サイドの人間。にしては色々と派手で、百ともそれなりに深い交流を持っている様子。長男が経営に回り次男が現場で活躍する(アイドル)という線もなくはないものの、話しぶり的にはイマイチ現実味がないか。
剽軽な見た目と独特なノリで掴みどころのなさを演出していますが、大胆に機密情報を開示して会話の主導権を取るなど豪胆な一面も。その発言もどこからが本音でどこまでが嘘なのかが分かり辛い、総合して食えない男という印象です。
軽いノリと明るいキャラを活用して立ち回っている百とは、生き方のベクトルは近しい気もします。彼らは「したたかさ」という共通項を持っていて、そこが表面的に仲良くやれている理由なのかもしれません。了自身は、世渡りの上手い人物が好きそうなイメージがありますね。
普通に考えれば3期のボス格に当たる人物だとは思いますし、TRIGGERの失墜にも大きく関与しそうな雰囲気があります。その動向にはしっかりと目を配る必要がありそうです。
『アイナナ』は悪役に悪役らしい魅力があるのも面白いポイントなので、こういうキャラが早速出てきたのは嬉しい限り。これからどんどん我々をドン引きさせるような動きをしてほしい限りです。
棗巳波
泣きぼくろ1つに込められた情報量、露骨に占いの域を突破。
星影事務所の若きホープであり子役からの叩き上げ。
第1話では俳優として千と会話するシーンが中心でしたが、近い将来アイドルとしてデビューすることにもなるのでしょう。
中性的な見た目と無感情な喋り方が特徴的で、今までの『アイナナ』にはいなかった属性を持ったキャラクター。彼と並んでいる姿を見ると、千の方は長髪の美しい男性というイメージで統一されているなぁと感じます(※見た目の割に女性的という感じではない)
彼も彼で腹に一物抱えているのは間違いなさそうで、色々とやらかしてくれそうな雰囲気があります。星影は今のところツクモに取って食われそうな空気をひしひしと感じているのもあり、「星影側」というのも半ば疑わしい立ち位置です。
ナギの故郷であるノースメイアに留学していた過去があることも判明し、そこからナギの個人的な事情も3期の物語ではフィーチャーされそうな雰囲気に。ナギについてはサクラハルキ関連の話題もまだまだぼんやりしていますので、祖国絡みで一悶着あるのかもしれません。
棗巳波という個人についてはまだ何とも言えませんが、持っている背景事情が色々なキャラに影響を与えそうなものばかりというのが気になるキャラクター。ただ冷静なだけで終わるとは思いづらく、「蝶のように舞い蜂のように刺す」というはたらきを見せてくれそうだと思っています。
亥清悠
(※名前はスタッフロール参照)
九条家の前で出待ちして、初対面の天にめっちゃ悪口を言いに来た少年。普通にこわい。九条鷹匡と何らかの接点がある?ようで、そのせいで住所などを知っていたのかもしれません(好意的解釈)
アイドル、芸能人、果てはエンタメ業界全般に渡る刹那性を非常に重く捉えている少年で、天にも「今の人気は移り気な大衆に支えられた無意味なもの」であることを突きつけます。ただ皮肉を言いに来たにしては堂に入っている感じがあり、何か事情があってそのような考え方に行き着いたと見る方が自然なような気がします。
恐らく今後アイドルとして活躍する姿を見ることになるでしょうから、この考え方は自身の活動にも何らかの影響を与えるものになるはずです。それを見るのが、彼に期待するまず最初の楽しみです。
第1話では「TRIGGERが干される」という情報のおかげでその存在が際立ったキャラと言え、短い出番で相応の存在感を持っています。そしてその分だけ活躍へのハードルが高まっているのも事実でしょう。
九条家と何らかの因縁があるのも間違いないでしょうし、2期の内容とも密接な関係を持ってきそうなキャラクターです。総じて早くそのベールを脱ぐところを見たい。今はまだそれしか言うことはできないですね。
おわりに
第1話は手始めに今後に向けての情報の整理から。
過去の未解決分も含め、現時点でもかなり多くの情報が提示されています。もちろん今後も新情報などがどんどん増えて行くでしょうから、3期が今まで以上に混沌した内容になりそうなのは想像に難くありません。
2期は独立した問題が最終的に1つの場所に行き着いて行く物語でしたが、3期は1話の方向性的に、1つずつ順番に解決して行くのが流石に現実的ではない気がしています。
これらが複雑に絡み合うことで起きる化学反応。その爆発力への期待を高めて、今後の物語を楽しんで行こうかなと思います。
それぞれの問題が様々な形で交錯し、最終的にどのような結末を導くのか。濃密なストーリー展開が見られそうでワクワクしています。『アイナナ』は最終的には光に行き着く物語ですから、そのカタルシスを信じて鬱々とした空気に当てられる予定です。ヘヘッ(?)
それでは今回はこの辺りで。超感想エンタミアのはつでした。今後ともよろしくお願い致します。
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