アニメ 第1話まとめ

【超感想】『PUI PUI モルカー』第1話「渋滞はだれのせい?」自分の行いを見詰め直す3分間

2021年1月16日

引用元:https://molcar-anime.com/

その可愛らしさ×社会派の作風から、早くもネットを騒然とさせている『PUI PUI モルカー』。

わずか3分弱に詰め込まれた独自性溢れる物語。空き時間にサッと見えることも大きな魅力で、ネットで話題にして楽しむ作品としても非常に優秀です。

その速効性に溢れる『モルカー』の世界を、あえて長文で読み解いてみる。それもまた1つの楽しみ方ではないでしょうか。

映像にすればたった3分。そこに眠るこだわりは無限大。『超感想エンタミア』らしい感想文をお届けします。よろしければお楽しみ下さいませ。

モルカーという存在

見た目はモルモット、役割は自動車。
人間に"乗車"される身でありながら、動物としての意思も確かに持っている。

全ての自動車がモルカーとなっていること以外は、限りなく現世に近い社会構造。それが『PUI PUI モルカー』の持つ世界観です。

概ねは我々が知る一般的な自動車と同様の機能を持つようですが、燃料の代わりに餌が必要など実態は生物寄りというのが面白い。あくまでもモルカーは生き物であり、物体ではないのです。

この『モルカー』では、「自動車として扱われている存在が生きている」ことを上手に活かしたストーリーが展開されています。

もし自動車が生きていたら、こういうトラブルもあるかもしれない。逆にこういう救いもあるのかもしれない。現実では絶対にありえないファンタジー。けれど誰もが想像し得る範囲である故に、どこかとても身近に感じられることばかり。そんな問題の発生と解決が電光石火でやってきます。

それをモルカーの目線から極めて愛らしくコミカルに。その中に現実社会への問題提起をシニカルに潜ませて。見る者に様々な感情を植え付けて行きます。

そんな我々と似て非なる世界で行われるモルカーと人間たちのドタバタ珍走劇。その第1話に着目して行きましょう。

小さな過ちが大惨事へと

第1話「渋滞はだれのせい?」にてまず我々の目に飛び込んできたのは、信号待ちで突っかえてしまうモルカーたちの愛らしい姿でした。しかも1匹1匹全て違うデザインのモルカー。1話開幕にして眼福の極みと言ったところです。

パペットアニメという都合上、モブ1キャラ出すのにも個体の製作が必要なはず。とりあえず数体のモルカーで事足りる話から始めれば良いものを、あえて大量の製作物が必要な話を1話に持ってくる挑戦心。それだけにこの作品への製作陣の強い意気込みが感じられます。

サブタイトル通り渋滞トラブルに巻き込まれたモルカーたちでしたが、その道を塞いでいたのは青信号でも進まないたった1組の迷惑運転手でした。

大音量で音楽を流しているためクラクションも聞こえず、一車線道路の最前列でスマホ弄りに没頭して完全に道を塞いでしまう。誰もが思う「車を運転してほしくない人」の象徴のような存在がそこにはありました。

実際の自動車渋滞も、こういった1つの塞き止めやブレーキの踏みすぎによって巻き起こると言われています。1つの空間だけを切り抜けば些末な過ちではあるものの、全体を俯瞰すると極小の過ちが大きな社会トラブルを引き起こすキッカケとなることが分かりやすく描かれていました。

そしてその渋滞の最後尾に位置付いたのは、急患を乗せてサイレンを鳴らす救急車です。ただの迷惑運転が、一気に人命に関わる大問題へと発展してしまいます。

これには普段から自動車を運転する機会が多い人ほどゾッとするでしょう。いくら優先走行可能な救急車と言えど、完全に塞がった道を通り抜けることはできません。

たった1つの迷惑運転が多くの人を巻き込む渋滞を引き起こし、最後には人の命さえも脅かす大惨事を引き起こすこともある。ここまでおよそ1分半。短い時間で突きつけられる厳しい現実は、老若男女問わず迷惑運転の危険性を感じ取れるものでした。

現実世界なら完全に「どうしようもない」という状況。しかしこの作品に登場する自動車はモルカーと呼ばれる意思を持った生き物です。そこには、この世界でしかできない相応の解決法がありました。

視聴者の願望を叶えるモルカー

1話の主役となったモルカー「ポテト」は、困った人がいると運転手の指示を無視して助けようとしてしまう心優しいモルカーでした(※公式サイト参照)

救急車の中でピンチを迎えている患者さんを見たポテトは、なんと救急車を自分の身体の上に跳ね上げ、そのまま他のモルカーの上を走らせてしまいます。

自動車を運転したことがあれば誰でも一度は思うであろう、「この渋滞の上を飛び越えて行きてえ」という願望を地で行くスタイル。自動車であったら許されませんが、もふもふかわいい"生き物"であるモルカーなら許される。あれだけ連なっていれば、1匹くらいは上を乗って走ることができるでしょう。

結果としてポテトの機転によって救急車は何倍も早く病院に辿り着くことができ、恐らく患者さんもより良い治療を受けることができました。小さな過ちで罪なき人が犠牲になる状況は避けられ、迷惑運転者も知らないうちに大罪に手を染めることもなくなりました。

これにて一件落着…と言いたいところですが、この物語にはもう一波乱が待っています。

「あ、これ自分も行けるわ」と考えたポテトが前のモルカーの上に乗り、自分も救急車を追いかける形で他のモルカーの上を走り始めたのです。

それを見たモルカーたちが1台、また1台とポテトのあとを追走。最前にいた迷惑運転モルカー(※モルカーに罪はない)は、後継の全モルカーに踏みつけられて横転することとなりました。

このドタバタ感、あまりにも癒されるコメディ。
迷惑運転手も警察にしょっぴかれ、改めて全てが丸く収まります。勧善懲悪一件落着。スカッとする終わり方で後腐れがない爽快な物語です。

しかし、本当にそれで良かったのか。その思いが拭えないところがある人もいるのではないでしょうか?

そこでこの物語の裏に潜んだもう1つの構造について、あえてもう一歩踏み込んでみようと思います。

正しいことをしたからと言って…

今回ポテトが救急車を導いたことは、人助けという観点では手離しに賞賛されるべきものだと思います。しかしながら、その方法論が社会的に評価されるものかと言われると否でしょう。

それは人の命が懸かっているからこそ、ギリギリ正当化される方法でした。にも関わらず、ポテトは自分の私利私欲のために救急車の後を追うことを選んでしまいます。

どさくさに紛れて自分も良い思いをしよう。そう考えたことが目の前のモルカーにも伝播し、最終的には全てのモルカーが交通ルールを無視して前方車両を乗り越えるまでに発展します。

これもまた小さな過ちが大きな惨事を生むことの一例に他なりません。「自分だけは良いだろう」その思いを全ての人が持ってしまったら、社会のルールとはいとも簡単に崩れ去る。その結果、一瞬にして無法状態が世間に体現されてしまうのです。

ポテトは良いことをして迷惑モルカーにも報いを与えることに成功しましたが、だからと言ってポテトのしたことが正しいことだったとは言い切れないのが現実です。

事と次第によっては、もしかすると"悪"に転んでいたのはポテトの方だったのかもしれない。そんな不穏な皮肉をどことなく感じさせながら、『PUI PUI モルカー』の第1話はコミカルに幕を閉じました。

果たしてこれがただの深読みなのか、意図して練られた構造なのかは何とも言えませんが。せっかくネットバズを呼んでいる作品です。このような解釈があっても、良いのではないでしょうか?

おわりに

というわけで『PUI PUI モルカー』の感想をしたためて参りました。たった3分、されど3分。様々な要素が凝縮された、現代的な作品であると感じました。

決して大人向けに創られているわけではなく、基本は可愛い見栄えの愛らしい物語には違いありません。ただ、作中に内包されたテーマが大人にも響くものであるというのがポイントでしょう。

手抜きなく驕りなく躊躇いなく。描きたいテーマを全力で描こうとすれば、どのようなテイストでも真に迫った物語が描けることを教えてくれているかのよう。そのリアリティがあるからこそ、ファンタジー存在であるモルカーの可愛さが際立つという印象です。

気軽に考えてもこれだけの文章が書き込める作品で、感想を書いていて楽しいですね。好評であれば2話以降の読み解きもしてみようと思います。ここまで読んで頂いた方、よろしければ記事のシェアなどもして頂けると嬉しいです。

またどこかでお会い致しましょう。『超感想エンタミア』のはつでした。それでは。

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  • この記事を書いた人

はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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