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【超感想】『キンプラ』速水ヒロ重点『キンプリSSS』全話感想を書いた者の思い出語り

2019年10月10日

プリズムキングカップ開幕

開幕したPKCは波乱の展開。
審査員はシュワルツローズに買収され、観客の一部もコントロール済み。

アカデミー系を忌み嫌う大和アレクサンダーによる会場破壊行為。それを止めるエーデルローズの新進気鋭スタァ 香賀美タイガの戦い。

ボロボロになり再起不能になった会場で、恐怖する観客。どうしようもなく告げられる大会中止の裁定と、高田馬場ジョージの優勝。

ヒロが裏から顔を出した時には、とんでもない惨状が目の前に展開されていました。

もうこのままヒロやシンはショーをすることもなくPKCは終了してしまうと思われた矢先、立ち上がったのは、過酷な修行を終えてプリズムストーンから出場した仁科カヅキです!

「プリズムショーは超面白かっこいいぜ!」

「全てのプリズムショーはフリーダムである!」
「プリズムショー ファン解放宣言!」

フリーダム!フリーダム!

破壊された会場を圧倒的プリズムショーで再建し、ストリートのカリスマがその新たな力で観客と1200億円を"浮かせた"ことで、ヒロ達にもチャンスが回ってくることに。

残念ながらカヅキは規定を大きく逸脱したという理由で失格処分。あまりに意味不明な裁定。しかし会場は誰よりも大きく湧かせ、「これがストリート系だ」と言わんばかりにそのバトンを後ろに渡します。

「……!」

『キンプラ』ではここまで一度として顔を合わせなかったヒロとカヅキが初めてやり取りをしたのがこのシーン。

一言も言葉を交わさず、胸に感じるものだけを伝え合い…。ヒロはカヅキの想いも背負って、自分の出番を待ちます。

「俺達が目指すのは 勝者じゃなく勇者だろ」

自分ができる最高のプリズムショー

PKC再スタートの先陣を切ったのはエーデルローズ 一条シン。

プリズムジャンプが飛べなくなるというアクシデントに見舞われながらも、皆の推薦を受け出場することになった彼。

ギリギリで解放された"力"により見事な3連続ジャンプを決め、会場を沸かせることに成功!これでシンの暫定一位は確実…!

…と思いきや、シュワルツローズの買収行為によって審査員採点が不当に低くついてしまい、まさかの暫定2位。シュワルツローズ所属の高田馬場ジョージを上回ることができなかったため、エーデルローズの未来は完全にヒロの双肩に託されることとなりました。

そして始まるシュワルツローズ最有力株のプリズムショー。

コウジのprideを奪い、歌いこなす、如月ルヰの登場です。

この時、当然ヒロはルヰがprideを歌うと思って身構えていたと思います。prideを使いどれだけのショーをルヰが成し遂げるのか。その結果次第で、自分が取る選択を変えようと思っていた可能性もあります。彼がpirdeを歌っていれば、異なった未来もあったのかもしれません。

「プリズムの煌めきを…あなたに!」

しかし、ルヰが歌い始めた楽曲はpirdeではなかった。
全く誰も知り得ないオリジナルマイソングで、prideの時とは全く違う妖艶で優美なプリズムショーを彼は体現しました。

その結果は20,000カラットフルマーク。
審査員・観客双方を完全に魅了し、満点という結果を叩き出してしまったのです。

これにより、ルヰのプリズムキングが実質確定。
同時にシュワルツローズの勝利も確定し、ヒロは出番を迎えることなく終わりを終焉という現実に直面することとなったのです。

それでも彼は決して後ろを向きません。
プリズムキング最有力候補にして最終滑走者として、毅然とした態度でステージの上に向かいます(※4DXだと一歩一歩ごとに、足元から空気が噴射される)

出番を終えた者とこれから始める者。
通路で入れ替わった両極端な立場のルヰとヒロ。まだ一度として言葉を交わしたことがない、しかし自分と同じように"prideでステージに立った男"に向け、ヒロはたった1つの質問をぶつけます。

「どうしてprideを歌わなかったんだ?」
「…………」

一瞬の沈黙。
その問いを受けたルヰは、ヒロに顔を向けずこう答えるのです。

「僕ができる、"最高のプリズムショー"をしたかったから」

ルヰはヒロの最高の楽曲、prideを使ってステージに立つ権利を持っていました。ヒロがどうしても手に入れたいと願い行動し、様々な困難を乗り越えた先でなお歌い続けていたデビューソング。

それだけの"意味"を持った楽曲を持ってして、ルヰは最高のプリズムショーができないと判断した。それはきっと"彼にとっては"そうではない楽曲だったから。彼の想いを体現できる曲はprideではなかったから。

「……そうか」

そのルヰの言葉を胸に受け取り、彼は誰も自分を歓迎しないステージの上へ。孤独な戦いが幕を開けます。

地球は黄色かった

ステージに立ったヒロの目の前に広がったのは、真っ青に染まった観客席。そしてルヰのショーに魅了され切った「グロリアスシュワルツ!」の声。

ヒロにスポットライトが当たった時、その声は怒号と罵声となり、彼に襲い掛かりました。

心配する仲間達の姿が彼の目に入ったかは分かりません。
でも仲間達の魂を胸に秘め、決して怯むことなく観客に向かって腕を振り上げます。

「…………!」

一言の言葉も発さず、その動きだけで観客を圧倒。青のペンライトを一面水色に変化させ、彼が歌いだした楽曲は――

「ハッ!馬鹿が!」

――「pride」でした。
原曲にはなく付け加えられた神々しい前奏。アレンジを新たに展開される我々が全く聞いたことのない「pride」が画面の中で展開されていた。

「prideはシュワルツローズのもの…お前は失格だァ!!」

だがそれは自身の失格、そしてエーデルローズの敗北を意味する。冷静に考えれば、今まで通り誰かの希望を優先するのであれば、彼はprideを歌うべきではなかった。

それでも彼はprideを選んだのです。
"自分ができる最高のショー"を考えた時に、彼が取れる選択はこれしか残っていなかったのだと僕は思っています。

言わば彼はこの時完全に"勝者ではなく勇者"を目指すことを選んだ。初めて見た時のあの衝撃は忘れようがありません。

常に他人の希望を意識し、応え、返してきた速水ヒロが、初めて自分の意思と希望を優先して立つステージ。あらゆる困難を乗り越えた先で、彼だけが辿り着けた自分自身の答えがここにある!

その間、裏で暗躍してくれていた十王院カケルの活躍により、土壇場でprideの権利がエーデルローズにカムバック。演技中のヒロはそのことを知らなかったと思いますが、仲間達の活躍のおかげで決死のヒロの演技は意味のあるものになりました。

「皆の心を最も輝かせることができるのは…」

「俺だッ!!」

煌めきを形に変えて、孤独なステージをOver The Rainbowの絆で彩り、絶対アイドル速水ヒロは飛ぶ!

「セイントスプラーッシュ!!」

スターを超え、
シャイニングを超え、
ヒロだけが生み出した聖なる属性

「あ~ん♥」

それは観客の服を吹き飛ばし、全ての者に生まれたままの姿で忠誠を誓う権利を与えるプリズムジャンプ!「セイントスプラッシュは刀狩り! by 菱田正和」

「2連続!」

「絶対に君を幸せにしてみせる!」

――あぁ。

この言葉を聞きたくてこの映画を観た。
初めて見た時の僕は心からそう思いました。

誰に言われるでもなく、誰に求められるでもなく、「自分の意志で誰かを幸せにしようとする速水ヒロの姿」。

この1年間で彼に成し遂げてほしいと願った到達点を、彼は理想的な形で僕の前に見せつけてくれたのです。

「太陽の沈まぬ王国! ヒロイックキングダム!」

ヒロの寵愛を受けた人類は輝ける黄色い薔薇を携え、その色を彼のイメージカラー一色に染め上げて行くのです。

「地球は黄色かった」

ド強烈な印象だけを与えてくる人工衛星演出。
笑いを超越した先にある感動――の先にある笑い。これこそが『KING OF PRISM』の真骨頂…!

「3連続!」

「太陽系の新たなる平和と秩序は…俺が作る!」

地球を飛び越えたヒロが飛ぶのはシリーズ恒例とも言え、シンも飛んだ太陽をモチーフとしたジャンプ。だが彼が飛ぶのは太陽ジャンプではなく、太陽"系"ジャンプ!

数々のスタァ達が輝かせてきた太陽をビリヤードの手玉に変えて、惑星を弾いた先で作り上げるキングの新たなる在り方、それを彼はプリズムジャンプに変えてしまった!

「銀河ブレイクショット伝説! 絶対王政! パックスヒローナ!」

ローマの平和はよろしくヒロイックキングダムの平和。
破壊された世界を勇者が救い、その上に新たな絶対王者が君臨する。それがPKCサンダーストームセッションが作り上げる物語(監督談)

「4連続!」

「皆の支持を受け、我は地球に降り立つ!」

男子公式戦ではルヰに続いて2人目となる4連続ジャンプ。それは宇宙を治めた絶対王者が、再び母なる大地へと降臨する。ダイナミックな演出のプリズムジャンプ。

「ハロー! みんな!」

観客の上を笑顔で飛び回り、かつて「手が届かない存在」と決め付けた女王の分身と肩を並べて舞いながら、速水ヒロは玉座を目指す!

煌めきで作られた尊き仲間達から譲り受けた剣とマント、黄金に輝き出した衣装を身にまとい、頂に向けた階段を威風堂々と踏み抜く姿は、正に"王者"の資質を持つ存在。

「プリズムの女神が、新たな王を祝福している!」

どこからか飛来した女神がヒロの頭上に王冠を授けた時、その場にいた全ての人間に、真なる戦いの結末が見えたことでしょう。

「朕はプリズムショーなり!!」

次の瞬間、王威をまとった速水ヒロは全ての観客を、シュワルツローズに買収されたはずの審査員を。その言葉と煌めきでその場に平伏させ、魅了し尽くしてしまったのです。

「うぐっ…! 私は認めん…! 絶対に認めんぞ…!」

最後には姑息な手を使ってヒロを追い詰めた法月仁さえも…

「ハハァー……!!」

不本意ながら膝を折り、屈服することとなりました。この結末が後の彼の心に大きなトラウマを残すことに。

「王位戴冠! THE KING OF …」

「PRISM!!」

絶対アイドル速水ヒロは絶対王者速水ヒロへ。
彼は"自分のできる最高のプリズムショー"を体現し、見事にその場にいる全ての人の心を奪うことに成功したのでした。

THE KING OF PRISM

「キングは君だよ、速水ヒロくん!」

十王院財閥にてカケルと敵対し、仁と蜜月の関係(?)にある真田の工作で、一旦は採点結果が伏せられてしまったヒロのプリズムショー。

しかし直前にフルマークを出した如月ルヰは彼を勝者と認め、笑顔でこう宣言したのです。

奇しくもシステム復旧と同時に画面に映し出された得点はルヰと同じく20,000カラットフルマーク。ですが、観客の心の煌めきを数値化した「スパーキング」がルヰを大きく上回っていたことで、ヒロは単独キングの座を得ることになりました。

「僕が…キング…?」

この時ヒロは本当に自分がキングになれると思っていなかったはずです。prideの権利は奪われていたし、何より彼は「誰かのためではなく、自分のためにショーをした」から。

それは彼にとって自身のアイデンティティと真逆を行く行為であり、「必ずしも人のためになるものではない」と思っていたはずだから。

でも彼はその"自分の思う最高のショー"で観客を魅了し、湧かせ、満足させることができる天性のプリズムスタァであった。それが証明された瞬間だったし、きっと彼がそのことを少しだけ自覚できた瞬間にもなったと思います。

自分だけで選び、他人の意思が介入しない選択。
それが大きな結果を生み出したことはきっとヒロの自信に繋がったと思うし、ヒロにとって自分で自分を認めてあげられる出来事になったことでしょう。

困難を乗り越え、勝者であり勇者となった速水ヒロ。
難しい仕事を完璧にクリアし、帰ってきた神浜コウジ。
悩み抜いていた自らの在り方に答えを出した仁科カヅキ。

再結成されたOver The Rainbowが描く未来。
それが見られる日は、未だしばらくお預けといったところですが…彼らの煌めきがより大きな形になる瞬間を、またいつの日か見せてくれると信じています。

「I am KING! OF…PRISM!!」

おわりに

10月10日の間にアップできるよう気合い入れて執筆しました。楽しんで頂けていたら幸いです。

ここまで書いて参りましたが、この映画を見終えた時の達成感、満足感、充実感が、最初に抱いていた全ての不安感を打ち払うものだったことは、言うまでもありません。

試写会を見てから封切りまでの2週間、誰にも話せず、ネットにも何も書けず、周りからは「喋ったらどうなるか分かっているな?」と脅され、とにかくこの2週間がきつくてきつくて仕方がなかったことを覚えています。

何より「もう一度見たい」という状態で2週間待たされたのが辛かった。最速の試写会で1ヶ月待った方々の心は大丈夫だろうかと心配になったほどです。

封切り以降、僕は休みの多くを『キンプラ』の鑑賞に当てたり、最寄りの映画館で上映していそうなところに片っ端から足を運んだり、とにかく『キンプラ』漬けの日々を送りました。

それは何度だってあのヒロのプリズムショーを見たかったから。

今見ても泣いてしまうほど、あのヒロのショーが好きで好きでたまらないものになってしまい、それ以降ヒロへの厄介オタクぶりも増し、とにかく速水ヒロというキャラクターは僕にとって無くてはならないものになった。

『スッスッス』では目立った出番がなく、少し残念な思いがないわけではありません(※アニメは最高すぎた)そしてまだ父親の謎が残っていたりと、これから拡がって行ってくれるとキャラクターであり、作品だと信じています。

今後の作品の発展と、さらなるヒロの活躍に期待します。

煌めきをありがとう。
そして誕生日おめでとうヒロ。
『キンプリ』とヒロのおかげで人生が変わりました。

この記事を見る前に改めて『キンプラ』を見直しましたが、好きが爆発しました。僕はやっぱりこの作品が好きです。これからも楽しみます。

お読み頂きありがとうございました。

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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