アニメ 単話感想 第1話まとめ

【超感想】『Fairy蘭丸』禁忌其の壱「恋愛」光輝の夭聖 蘭丸、降臨!僕は貴女を守りたい!

2021年4月12日

引用元:https://f-ran.jp/story01.html

2021年4月よりスタートしたTVアニメ『Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~』。

あの『KING OF PRISM』シリーズを手掛けた菱田正和監督の完全新作オリジナルアニメであり、そのセンセーショナルなキャラクタービジュアルや世界観で話題を呼んでいます。

メインキャラの声優もまだまだこれからという新人さんばかりが抜擢されるなど、企画から作風まで強い独自性を醸し出しているこの『F蘭』の全話感想を始めます!(※Twitterは3文字以上のハッシュタグでないとトレンドに載らないため、「#F蘭丸」を使用して呟こう!)

この記事をお読みの方々は、僕の『キンプリSSS』の感想でお会いした方々もいるのかもしれません。

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そうこいつです。はじめましての方、はじめまして。お久しぶりの方、お久しぶりです。いつもの方、ありがとうございます。

何かと監督名で盛り上がる本作ですが、そこは僕の感想記事らしく、まずは物語とキャラクターの読解から始めましょう。

『F蘭』は難しい考察や深読みの必要ないエンターテインメント作品。しかし分解が必要な内容なのは事実です。こういう作品の感想こそ、真面目に書く意味がある。そう信じて、物語の魅力と真摯に向き合って行こうと思います。

ねぇちょっとそこのあなた、やっぱり見て見ぬ振りするんですか?我々にそんなことはできません。あなたの涙拭いたい。咲かせ魅せます笑みの花。よろしければお付き合いくださいませ。

愛著を集める夭聖たちの物語

『Fairy蘭丸』は5人の夭聖(ようせい)と呼ばれる少年(青年?)たちが、人間として受肉して活躍する物語。安定の全裸スタートは、菱田監督の過去作を踏襲していますね。

火焔族 歩照瀬焔(ほてらせほむら)
水潤族 清怜うるう(せいれんうるう)
卉樹族 陸岡樹果(むつおかじゅか)
金鋼族 雅楽代寶(うたしろたから)

そして光輝族 阿以蘭丸(あいらんまる)

夭聖界に存在する女王陛下の命により、今回はこの5人が招集されました。全員読めんし書けんし変換できん。全部辞書登録した。樹果「マジ、俺選ばれたんですよね?名前、間違ってませんか?」間違ってるかもしれん。

彼らはそれぞれの一族の中でも優秀な人材ということですが、中でも光輝族の蘭丸は"一族"その物があまり出てくることがない逸材のようです。

5人の目的は苦しむ人間を助けて、愛著(あいじゃく)を集めること。これも変換できん。愛著とは「人の心が大きく動いたときに生まれる力(公式サイトより)」だそうですが、仏教用語で「欲望にとらわれて離れられないこと」を指す言葉でもあります。

言葉通りに捉えるならば、彼らが集めるのはポジティブではなくネガティブな側の感情ということに。この点は1つ、押さえておいても良いところかもしれません。

守るべき「夭聖十訓」とその実情

人間となった夭聖には守るべき「夭聖十訓」というものが存在し、彼らはその範囲内で人間として活動することが求められています。

夭聖十訓

一つ、恋愛。
絶対に異性と恋をしてはいけない。

一つ、憤怒。
絶対に怒りや憎しみの感情を持ってはいけない。

一つ、嫉妬。
絶対に人を羨ましがってはいけない。

一つ、冷淡。
絶対に困った人がいたら助けなければいけない。

一つ、色欲。
絶対に異性と肉体的接触をしてはいけない。

一つ、暴力。
絶対に人を傷つけてはいけない。

一つ、快楽。
絶対にお酒、タバコ、薬物に手を出してはいけない。

一つ、堕落。
絶対に自堕落な姿になってはいけない。

一つ、傲慢。
絶対に自分に力があると思い上がってはいけない。

一つ、解放。
絶対に正体を明かしてはいけない。

参照:https://f-ran.jp/jikkun.html

これら全てが禁止事項となっており、人間にかけられる制約としては極めてクリーンかつ自罰的な内容です。あくまでも使命による受肉、人間としての楽しみを謳歌することは、基本的には認められていないということでしょう。

しかしながら現世には夭聖の力を利用しながら人間としての生を謳歌している者もいるらしく、十訓も「バレなければOK」という曖昧な存在になり果てている様子。

「人間の身体は腹が減る」という台詞からも分かるように、夭聖界と人間界では生きる性質その物も違っているようです(※完全色のカレーを食せば問題ありません)そして違いがあれば、人間でいる方が「楽しい」と考える者が出てくるのも自明です。あえて十訓を守らない者が出てくるのも、不思議ではないと言えます。

かく言う今回の5人も1話時点で既に暴力をはたらいたり色欲に塗れていたり、完遂するつもりがある者ばかりではありません。

5人は「BAR『F』」にてファミリーとして活動する同志ではありますが、個々の想いや目的には少しずつ差があるのかもしれません。それがどのように物語に絡んで複雑化してくるのか、2話以降での注目ポイントの1つとなりそうです。

さらにサブタイトル「恋愛」を見るに、夭聖十訓は毎週発生する事件の内容にもリンクしていると考えるのが自然です。

後半に行くに連れて過激な項目が増えて行きますから、相応に深く厳しい物語が展開される可能性も高くなります。個人的には「快楽」の三要素に"ギャンブル"が入っておらず、"薬物"と明言されているのが引っかかっています。

それぞれの項目がどのような物語になるのか、またそのミスリードを利用した裏切りが存在するのか。

それらを想像するのも、今後の『F蘭』の楽しみ方となりそうですね。

SNSでイジメを受ける少女

困っている人を助けて愛著を集める。そうは言われても、ごまんといる困っている人の中から誰を見初めれば良いのか。それが5人に降りかかった最初の問題でした。

そんな中で、最初に手に入れるべき愛著の持ち主と出会ったのは光輝族 阿以蘭丸です。

蘭丸は5人の中でも取り分け感情の起伏が小さく、与えられた使命と生真面目に向き合っているように感じられました。清怜うるうもそのタイプですが、彼は真面目さを演出しているようにも感じられるのが相違点。"夭聖"としての自分に最も正直なのは、蘭丸であるイメージです。

蘭丸の前に現れたのは、SNSでいじめに遭って病んでしまった1人の少女 英子でした。ちなみに劇中で名前が呼ばれるシーンは1ヶ所もありません。

横断歩道で彼女を抱き抱えて交通事故から救った蘭丸。転校生として転入したエ・フランデミューズ学園では、彼女とクラスメイトにもなります。90年代を思わせるベタな展開です。と言うか校歌ヤバすぎん?ここには美しいものしか存在しない~♪ヒェ…。

英子がいじめられ始めた理由は、同級生である美々の元カレに惚れられてしまったことでした。英子を妬んだ美々はあらゆるサイトで複数のアカウントを作成(?)し、数の暴力を利用して英子の心を痛めつけていたのです。時代を感じさせるものから現代風のものまで、守備範囲が広いですね。

全員が全員とも美々であったとは限りませんが、学校のクラスというのは閉じられたフィールド。そこで複数人の悪意が"あることにしてしまえば"、他のクラスメイトの感情を煽るのは造作もないことだと思います。

多くの人間を演じ、多くの人間を操った美々の元には、それだけ多くの感情の動きが結集していたと感じます。故に、彼女の元に愛著は宿ってしまった。僕はそう解釈しています。

1話時点では、愛著は何かが取り憑いて悪人化するのではなく、悪意を持つ者に自然と芽生えてしまう感情のうねり…のように見えています。

となると、その気になれば無数に集められるということになりますが…。逆に数が少ないならば、「何故彼女が選ばれるのか」にも意味があるのかもしれません。その点、2話以降も気にしながら見て行きましょう。

禁忌解放!愛!爛漫!

謎どこでもドアを通り、蘭丸が向かった先。それは今正に飛び降り自殺を図ろうとしている英子の元でした。

回収する愛著を持つ者は美々の方ですが、その回収のためには彼女に痛めつけられている英子の心を助ける必要があるようです。

「僕は…!僕は…貴女がこの世界からいなくなったら…!悲しいです…!」

死なせてと懇願する英子の心に寄り添い、彼女に対してまっすぐな熱意をぶつけて行きます。2人はまだ出会ったばかりの関係で、互いのことを知っている間柄ではありません。しかし、だからこそ届く想いもあるのだと思います。

「僕は…貴女を守りたい…!」

不特定多数の顔も見えない相手から攻撃され続け、耐え切れぬほど痛めつけられた英子の心。そこに入り込むことができるのは、面と向かって言葉をかけてくれるたった1人の人間です。

責任も友情も愛情もないはずの相手から向けられる、100%の熱意。

涙を流しながら告げられるその言葉こそが、今の彼女の心には最も必要なものでした。

「貴女の心…いただけますか?」

それこそが禁忌解放の条件。向けられている悪意を退け、解き放たれた心からプラスのエネルギーを受け取ること。その一連の流れによって、夭聖は人間の心の闇と戦う力を得るのです。多分。唐突なキスについてはギリギリで"身体"から"心"に切り替わったため肉体接触ではない。不問とする。

「禁忌解放!愛!爛漫!
光輝の夭聖!蘭丸、降臨!」

今どきのアニメにしては珍しすぎるたっぷりと時間をかけた変身バンク(※しかも局部が異常なほど光る)を経て、蘭丸は真の姿を顕現します。目指すは、愛著を抱える美々の、心象世界の中です。

脅威と驚異の戦闘シーン

らんらんららん 愛故に
駆ってゆけ 天高く
らんらんららん 愛故に

咲き誇れ 地獄でも

なんやねんこれ。

何故歌ったかは分からないが歌った。いや愛故にか。変身にめっちゃ時間かかった後に登場シーンにもめっちゃ時間を使うアニメ。3分も話が進まない時間がある。どうなってる。

便利な謎どこでもドアの先は、悪意に塗れたおどろおどろしい心象世界です。鍵穴の向こう側では英子も様子を窺えるようで、被害者と加害者の心を繋ぐ場所のような役割も果たしているのかもしれません。

「これは…何…?」

分からん。分かるはずがない。

1話時点では比較対象がないため明言はできませんが、オーソドックスに考えれば個人の抱える愛著がそのまま風景として表れているのではないかと思います。1枚だけ可愛らしいフラペチーノの画像が浮いていますが、一時停止するとあれは英子の投稿のようでした。コメントに罵詈雑言が書かれているのが確認できます。妄執。

心象世界の美々はトリッキーな攻撃を活用し、蘭丸に「そこか!」「違うか」コンボを決めさせるなど彼を翻弄。心象世界の特性を利用して、優位に戦いを進めました。戦闘シーンは割と普通に良い感じなのに、他の部分が変すぎるのでここも何故か変に見えてくる気がします。

しかし彼女が愛著を抱えた一般庶民だとするならば、これだけ戦い慣れしているのは不自然にも思えます。途中では「お前はもう用済みだ」という不可解な台詞も飛び出しており、美々とは違う意志が介在している可能性もありそうです。

ですがそう簡単に敗れる蘭丸ではありません。
彼は夭聖界でも最強と言われる光輝族の1人にして、今回の任務を与えられるほどの実力者。美々の繰り出した攻撃を意趣返しして、そのまま彼女の懐に飛び込むことに成功したのです。

アニメ的な演出としては非常にオリジナリティがあって見応えがあるシーン。とは言え即座に正攻法ではなく、一旦陰湿な意趣返しを行うというのは蘭丸のキャラらしくもない?気がします。この戦い方には、何か理由があるのでしょうか。ないのでしょうか。書いてはみたものの、僕自身あまり深く考えてはいません。

「〇×△…△×〇…××□〇!」

ちょっと何言ってるか分からない独自言語によってデッカい鍵を生み出し、美々の心の鍵をこじ開けて彼女を解放します。普通に考えれば鍵を開けた時点で愛著が解放されて終了…となるべきところですが、そこで終わらないのが『Fairy蘭丸』です!

なんと丸腰となった女子高生の胸部目掛けて、最強必殺の一撃を放ちます!心を救う物語なのに、そこでオーバーキルを決める必要性はあるのか!?果たしてあるのか!?

「GO TO…HEAVEN――――――――!!」

いやある!何故ならカッコいいからだ!それ以外に理由はない!

使命を果たした蘭丸の恐るべきドヤ顔を前にし、我々は完全に考えるのをやめた。少なくともこの作品のこの部分については、"ありのまま"を受け止めて心を躍らせるのが最も正しい楽しみ方である。そう思わざるを得なかったからです。

断ち切れない悪意の連鎖?

事件解決後、再び英子と会うのに緊張する蘭丸を見ることができました。

最後の最後にして、ようやく素の彼の感情が見られたような気がします。公式ページには「記憶を失っている」と書かれていますし、経験を経ることで少しずつ人間らしくなってくれるのかもしれません。その辺りと冒頭のシーンが、どう関係してくるかには期待を寄せておきたいところです。

「まさか依頼人のこと、好きになっちゃった?」

そもそも依頼されてましたっけ?

そんな彼を尻目に、英子は告白してきた美々の元カレ――一郎に駆け寄ってラブラブし始めます。頭おかしくなりそう。一郎くんはどう見てもクソウザい奴だったのですが、実は相思相愛だったのを阻まれていただけだったということでしょうか。

一方の美々は一件のせいもあってか、今度は自分がイジメの標的とされてしまうことに。因果応報とは言え、不特定多数からの悪意を受ける人がいなくならないという事実。これには、一抹の嫌悪感が残るものです。

と言うのもこの『F蘭』の物語、愛著を手に入れる過程で、今後もこのような悪意の連鎖が断ち切れないのでは…と思わせられるからです。

1話では愛著が宿った者が完全な悪役として描かれているものの、美々は美々で救われるべき負の感情を抱えていたのは事実でしょう。となると、愛著を得ることは「誰かを救うために、誰かを討ち果たすことを選ぶ」ということになります。

結果として1人を救ったことは、他の誰かを救わないことになる。
それによって意気消沈するどころか、より人生のドン底へと深く深く落ちて行く者が現れる。今度は美々が自殺未遂を図る可能性だって、ゼロにはならない状況ですから。

「愛って…なんだ?」

そんなことをぼんやりと感じさせられながら、コミカルに落とされた『Fairy蘭丸』第1話。これが最後まで見終わった後でも、笑って見られる物語であることを願って止みません。嘘です。菱田監督、きついの一発よろしくお願いします。

この物語はフィクションであり、
登場人物、事件、団体名等は
全て架空のものです。

おわりに

というわけで第1話の感想はこのようになりました。

とにかく情報量と唐突な展開、それを圧倒的な熱量によるゴリ押しによって正当化するスタイル。正しく菱田正和監督の真骨頂と言えるのではないでしょうか。監督好きの方は、想像通り満足できる作風だったのは間違いないはずです。

とは言え完全オリジナルアニメの1話としては、分からないことが多すぎる。その分からなさで人を惹きつけるタイプの作品であるとは言え、それはどうしても広める上でのネックにもなり得る諸刃の剣です。

そんな中で1話時点で分かる範囲で可能な限り内容を分解し、「こういう楽しみ方をすれば良いのでは?」と多くの人に伝えることができる記事。それを目指して執筆してみました。

ここから何を導いてくれるのかはまだまだ未知数ですし、何を受け取ることができるのかもまだまだ見えてきていません。だからこそ、とりあえず気になるところを書き出して楽しんでいく。多くの可能性の1つとして、この記事が役に立っていたら幸いです。

今後ともこのスタイルで全話を執筆して行きます。1人でも多くの人が楽しめる作品になるよう励みますので、よろしければお付き合いくださいませ!

それでは今回はこの辺りで失礼します。超感想エンタミアのはつでした。また第2話の記事にてお会い致しましょう。

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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